2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18760484
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
下田 一太 Waseda University, 理工学術院, 講師 (40386719)
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Keywords | 建築史 / 考古学 / サンボー・プレイ・クック / イーシャナプラ / アンコール遺跡 / クメール建築 / プレアンコール |
Research Abstract |
古代都市イーシャナプラの北方地区に位置する煉瓦造遺構M45とM49において発掘調査を行った。M45はこれまで中央に位置する祠堂のみが確認されていたが、周壁に囲繞された寺域内に複数の遺構が建てられている複合的な構成であることが確認され、そのうち一つはラテライト円柱が列をなす特徴的な構造を示すものであることが判明した。M49からは厚さ約3.5mに渡り、土器やクメール陶器が連続的に検出される土層が確認された他、広い範囲から煉瓦敷の床面が検出され、この地区が長期間におよんで都城の中でも重要な位置をしめていたことが推測される結果が得られた。 プノンペン博物館の資料室では、1960年代にB.P.グロリエによってイーシャナプラの寺院区内を発掘調査した時の遺物の再調査を行った。土器・クメール陶器・中国産貿易陶磁が含まれており、アンコール時代初期から中期にかけてのクメール陶器の編年に有用な資料が得られた。これに加えて、グロリエによる過去の調査地区の近傍にて、新たに発掘調査を実施し、既往の調査による遺物を層位学的に再確認することを図った。 プラサート・サンボー寺院内では、詞堂内の台座の復原調査ならびに保存修復工事を実施した。中でも、N7祠堂の前方から出土した大型の八角形台座は、クメール芸術において極めて特徴的な構成を示しており、破断していた砂岩材、内部の煉瓦積みなどを修理し、復原的な修復工事を完了した。その他に、N1/N7/N8/N14-2/S17-1塔の台座の修復工事を実施した。
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