2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18760484
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
下田 一太 Waseda University, 理工学術院, 講師 (40386719)
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Keywords | 建築史 / 考古学 / サンボー・プレイ・クック / イーシャナプラ / アンコール遺跡 / クメール建築 / プレアンコール |
Research Abstract |
サンボー・プレイ・クック遺跡群の都市および建築に関する研究を進めるにあたり, 都市全体およびその周域を含む構造と, 主要な複合寺院伽藍であるプラサート・サンボー寺院の構成を解明することを目的として本年度は調査を実施した。 都市の構成については, この遺跡群内の都城西側から, 後に首都となるアンコール遺跡群へと延びる土堤状の古道の存在が明かとなった この古道はアンコール時代に整備されたいわゆる王道とは異なる経路を示しており, 構成に廃れて使用されなくなったことが窺われる遺構である。しかし, 遺跡群に発する唯一の幹線道路がアンコール遺跡群へと連結していた事実は, アンコール地区がプレ・アンコールの時代にすでに副都さながらの重要な拠点であった可能性を示している。 中央テラスおよび副祠堂周囲の発掘調査では, 特に中央テラスの北西象限のクリアランス調査を実施した。これによって, N4と番付されている祠堂の原型が明らかになり, またこの建物が後世に改造されていることについても確認された。テラスそのものも, これまでに描かれていた復元的なイメージとは大きく異なることが確認された。 また, テラス南東に位置するマウンド状の敷地をクリアランス調査したところ, 煉瓦造の祠堂が一基出土した。建立が予想される7世紀としては変わった建物であり, またテラスと同様に, 後世の改変が明らかに認められた。平面構成から, クメール建築における初めての「経蔵」と考えることも可能である。 過去に実施した調査も含めて, 伽藍の中核部を占める一連の発掘調査により, 当寺院がアンコール時代に入ってからも改宗, 改変を重ね, 重要な地方拠点であったことが示された。
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