2006 Fiscal Year Annual Research Report
中性子およびX線回折による水素吸蔵結晶合金の局所構造観察の研究
Project/Area Number |
18760494
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
伊藤 恵司 京都大学, 原子炉実験所, 助手 (80324713)
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Keywords | 中性子回折 / X線回折 / 水素吸蔵合金 / 局所構造 |
Research Abstract |
エネルギー問題を考える上で、高性能な水素吸蔵合金の開発は不可欠である。新規材料の開発において、水素原子の存在位置や存在環境の情報は重要なデータとなる。現在に至るまで、水素吸蔵合金などの結晶材料の構造解析はリートベルト解析をはじめとする"平均構造観察"が主であった。しかし近年、水素原子の詳細な存在環境を知るためには"局所構造観察"が重要であることが認識されつつある。すなわち、結晶構造解析で得られる平均的原子位置からの"局所的ずれ"が重要となりつつある。本研究では、ランダム系物質の構造解析法である2体分関数法およびリバースモンテカルロ法をβ-PdDx(x〜0.67)に適用することにより、通常の結晶構造解析では得られない"局所的構造"を明らかにすることを試みた。 X線回折実験により得られた2体分布関数から、β-PdDxにおけるPd格子は理想的なf.c.c構造であることが明らかになった。また、中性子回折実験により得られた2体分布関数におけるPd-D相関ピークの位置は、0.195nmであった。この値は、重水素原子がPdでつくられる八面体サイトの中心に存在するとした場合のPd-D距離(0.20mm)よりも小さい。さらに、Pd-D相関のピーク形状が非対称であることから、2種類以上のPd-D相関距離が存在していることが示唆される。
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