2006 Fiscal Year Annual Research Report
鉄鋼材料の超微細粒オーステナイトのマルテンサイト変態
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18760497
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
北原 弘基 熊本大学, 自然科学研究科, 助手 (50397650)
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Keywords | Fe-Cr-Ni / 結晶粒超微細化 / 繰返し重ね接合圧延(ARB) / マルテンサイト変態 / ラスマルテンサイト / サブゼロ / EBSP / TRIP |
Research Abstract |
本研究では、巨大ひずみ加工の一種である、繰り返し重ね接合圧延(ARB : accumulative roll bonding)により作製した超微細オーステイナイトのマルテンサイト変態挙動について検討を行った。試料は、Fe-15wt.%Cr-10Wt,%Niを用い、最大6サイクル(相当ひずみ4.8)までのARBを施した。6サイクルのARBにより得られた組織の平均粒厚さは450nmであった。SEM/EBSPにより相の同定を行った結果、90%以上がオーステナイト相であることを確認した。得られた超微細オーステナイトに、液体窒素によるサブゼロ処理を行った結果、マルテンサイト変態は、ほとんど生じなかった。これは、ARBによる結晶粒超微細化により、オーステナイトが安定化したため、マルテンサイト変態終了点(Mf)が液体窒素温度(77K)以下に下がったためと考えられる。そこで、引張試験を行った結果、加工誘起マルテンサイト変態が生じた。また、引張変形中には、TRIP(マルテンサイト変態誘起塑性)現象が生じ、ARB材の強度(0.2&耐力:800MPa)と延性(全伸び:30%)は、ともに高い値を示した。引張試験後の組織は、変態前のオーステナイトに類似した組織であり、マルテンサイト変態による微細化は確認できなかった。また、一般的な鋼で監察されるラス・マルテンサイトとは異なる組織形態であった。
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Research Products
(2 results)