2006 Fiscal Year Annual Research Report
熱処理を必要としない手法による二硼化マグネシウム線材の高性能化
Project/Area Number |
18760498
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
中根 茂行 独立行政法人物質・材料研究機構, 超伝導材料センター, 研究員 (40354302)
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Keywords | 超伝導材料・素子 / 化学工学 |
Research Abstract |
我々は、金属超伝導体の中で最も超伝導転移温度が高い物質"MgB_2"の線材化、及びその臨界電流密度(J_c)の向上を目指しており、最近、高磁場下で世界最高のJ_c特性を有する純MgB_2線材を、高性能化には向かないと思われていた熱処理を必要としない手法(Ex-situ法)で作製することに成功した。この成果を実用化に活かすには、(1)Ex-situ法で高性能なMgB_2線材を作製する上で必要となるMgB_2粉体の作製指針の確立と、(2)将来的に大量生産が見込める化学的な手法でMgB_2粉体を作製する技術の開発が必要である。そこで、これを実現するための基礎研究を提案した。 研究の進展状況は、計画書提出時の予想とほぼ同じであり、概ね順調である。 研究初年度は、(1)Ex-situ線材用のMgB_2粉体には、一般的な成型圧よりも高い圧力で粉体成型したペレットを粉砕したものを使用する方が、高磁場下のJ_c-B特性が高性能なMgB_2線材を作製できること、及び、この効果が、粉体の結晶性等が同特性に及ぼす効果より遙かに大きいことを明らかにした。また、(2)化学的なMgB_2粉体の作製手法として、一般的に容易に購入できるMg化合物に化学的な処理を加えることで反応性の非常に高いMg微粉末を得ることに成功した。更に、事前にB粉末を添加した溶媒中でこの反応を起こし、得られるスラリーを乾燥・焼成することでMgB_2超伝導体を作製するところまで成功させた。 上記の成果は、(1)は、平成19年度5月に学会発表、発表終了後に論文投稿する。(2)は、MgB_2の純度が不十分で、粉末X線回折ではMgB_2を確認できず、磁化測定でのみMgB_2超伝導体の存在が確認できる状態なので、平成19年度の研究で高純度化を測る。 研究予算は、試行錯誤する際に有用となる消耗品(化学器具,炉材,作製装置の構築用部品,etc)の購入に使用した。
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