2008 Fiscal Year Annual Research Report
熱処理を必要としない手法による二硼化マグネシウム線材の高性能化
Project/Area Number |
18760498
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
中根 茂行 National Institute for Materials Science, 超伝導材料センター, 主任研究員 (40354302)
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Keywords | 超伝導材料・素子 / 化学工学 |
Research Abstract |
我々は、熱処理を必要としない手法(Ex-situ法)でMgB_2超伝導体を線材化し、その臨界電流密度を向上させるため、(1)高性能なEx-situ MgB_2線材を実現できるMgB_2粉体の作製指針の確立と、(2)化学的な手法でMgB_2粉体を作製する技術の開発を目的とした基礎研究を行っている。(1)先年度の研究を進展させ、高圧力で成型したペレットを焼成・粉砕して得られるMgB_2粉体は、低圧力で成型したペレットから得られる粉体よりも、粒内の粒界結合性が優れており、それがEx-situ線材の特性の優劣に影響を及ぼしていることを突き止めた。粒内特性の優れたMgB_2粉体を利用することが、粒の表面劣化を防ぐ以上にEx-situ線材の高性能化に有効である可能性を見出した本結果は、従来の研究に一石を投じる成果である。また、一連の研究において、従来の研究では暖味だった"超伝導コアの粒界結合性を解析するための評価指針"を提案したことも、有意義な成果である。一方、(2)では、反応系の脱水化を徹底することで、MgB_2試料を含む粉体を再現性良く作製できるようにした。そして最近、化学反応に亜臨界流体を利用することで180度未満(従来法は600度程度が下限)の低温でMgB_2微粉体を作製できる可能性を見出した。これは、MgB_2粉体の新しい化学的な作製ルートであり、ナノ微粒子化を実現できる可能性も秘めている。ようやく掴んだこの有望な結果は、申請期間は過ぎてしまったが、研究を継続して収量の増大、ボロン原料の最適化、高純度処理法の確立を目指し、工業的に有意義な成果にしたいと考えている。ちなみに、本研究の過程でNMRが粉体の相状態の同定プロセスに利用できることを実証していることも、不純物中での収量増加を目指す本研究のような化学実験を当該分野で遂行する上では、有力な評価ツールを導入する糸口となっており、有意義な成果である。
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Research Products
(5 results)