2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18760505
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Research Institution | Toyohashi University of Technology |
Principal Investigator |
武藤 浩行 豊橋技術科学大学, 工学部, 助教 (20293756)
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Keywords | セラミック超塑性 / 粒界すべり / 個別要素法 / コンピュータシミュレーション / 高温変形 |
Research Abstract |
平成18年度は、セラミック材料の脆性克服(加工性向上)を達成するためのヒントとして、超塑性変形における変形機構を詳細に検討した。 1.超塑性変形における粒界すべりの定量化 市販のジルコニア多結晶セラミックをモデル材料として、超塑性変形の可視化を行った。引張試験片表面に作製したマークを各歪量に応じて連続的に観察した結果、見かけ上、試験片表面は均一な流動を示しているが、変形が大きくなるに従って、試験片内部に存在していた粒子が試験片最表面に連続して出現して<る事が明らかになった。この内部粒子の出現分布をマッピングした結果、粒子集団の形成と、その界面における粒界すべりを定量化することができる可能性が示唆された。従来、提案されている粒界すべり機構では説明できない新規な変形機構が超塑性のような大変形を支配していることを実験的に示すことができた。 2.超塑性変形のコンピュータシミュレーション 過去の研究では、超塑性変形機構に関するコンピュータシミュレーションは限られた粒子数の小規模なものであり、「粒界すべり」を定量的に取り扱うものではなかった。また3次元的な粒子運動を定量的に議論する試みは皆無であった。そこで3次元における複雑な粒子の運動を議論するために、本研究では、新たに個別要素法を用いたシミュレーションを試みた。この結果、粒界すべりの本質は2次元において予想されていたような、粒子集団の形成と、その界面におけるすべり(協調粒界すべり)が本質であり、この様子を可視化することに成功した(論文投稿準備中)。この結果は、3次元での粒界すべりを、世界に先駆けて示した初めての報告であり、今後の材料設計に重要な知見を与える重要な概念である。
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