2006 Fiscal Year Annual Research Report
高温高圧水を反応溶媒とした高級アルコール生成手法の開発
Project/Area Number |
18760572
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
富田 賢吾 東京大学, 環境安全本部, 助教 (70422459)
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Keywords | 高温高圧水 / 水和反応 / 高級オレフィン / 高級アルコール |
Research Abstract |
モデル物質として炭素数が10のオレフィンである1-デセンを用いて高温高圧水中で水との反応を回分式実験によって行った。結果として、水と1-デセンのみを高温高圧状態にすることで水和反応によって2-デカノールを始めとして、3-,4-,5-デカノールの生成が確認された。また、他の生成物として2-から5-デセンの生成が確認された。それら反応生成物の反応時間依存性を検討した結果、この反応系が水和反応だけでなく、異性化反応及び生成したアルコールからの脱水反応によって構成されることが確認できた。炭素数の少ないオレフィン(ex.プロピレン(炭素数3))の反応では水和反応の選択性が100%近い結果が得られていることから、炭素数が多い条件では副反応が起こりやすいことが確認された。また、反応温度依存を検討したところ、反応は360℃付近で最も速いことが分かった。これは結果として水のイオン積が反応に大きく影響するためであると考察でき、水のイオン積が常温常圧よりも3桁程度高い値を示す360℃付近での反応が最も進行したものと考えられる。また、低温領域の方がアルコールの選択性が高いことが分かり、これは生成したアルコールの脱水反応による2次反応が抑えられるためだと考察した。結果として反応には温度などの操作条件と、水の物性が大きく影響することが確認され、この制御によって反応の選択性を大きく変えられる可能性が見出された。 また、同反応系に反応の促進のために触媒の添加を行った。結果として硫酸などの酸や、チタニア、モリブデナといった固体酸触媒などの酸性を有する触媒の添加が反応を促進することを確認した。但し、水和反応のみが選択的に促進するわけではなく、同時に異性化反応も促進されることからアルコールの選択性を高める効果はないことが分かった。
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