2006 Fiscal Year Annual Research Report
原子炉過酷事故時のデブリベッドにおける再配置挙動に関する実験的研究
Project/Area Number |
18760657
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
松元 達也 九州大学, 大学院工学研究院, 助手 (90325514)
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Keywords | 原子力エネルギー / シミュレーション工学 / 熱工学 / 流体工学 |
Research Abstract |
本年度前半では、原子炉過酷事故時の炉心損傷により溶融炉心構造物が形成するデブリベッド内での核熱による沸騰挙動を模擬する可視化実験装置を主にステンレス製フランジ及びガラス製円筒容器により製作し、また付属する圧力調整用真空容器及び加熱配管系統の製作及び評価項目である圧力及び温度の計測システムの構築を行った。予備実験では各種の粒子を用い、その結果からアルミナとジルコニアを模擬物質として選択し、実験条件としての設定温度、圧力及び蒸気流量の選定を行つた。後半では、粒子の直径、層厚さ、物性及び蒸気流量をパラメータとした各種の実験を行い、次の知見を得た。同直径のアルミナ粒子の層厚さによる比較より、層が厚い程、層内の沸騰挙動は激しく、初期の傾斜角を有する状態から平坦化するまでの時間が短くなる。また層内の初期温度分布からの温度降下も大きくなる結果が得られた。これは層厚さの増加による粒子数の増加、即ち沸騰核が増えることによる。しかし層が極端に厚く、さらに蒸気流量が大きい場合では層下部での温度降下は小さくなる傾向に転じる。これは層厚さが増加し、ある範囲を超えると冷却水の浸入が妨げられ、沸騰による冷却効果が損なわれることによる。次に同層厚さのアルミナ粒子の直径による比較より、直径がある範囲までは小さい程、層内の温度降下は大きい。これは、ほぼ同体積率でも直径が小さければ、表面積が増加し、粒子間の接触点、即ち沸騰核が増加することによる。また直径がある範囲を超えるとそれまでの沸騰の様相とは異なる気液二相流動挙動を示し、粒子間流路における強制対流による熱伝達と流動抵抗の減少の効果が見られた。さらに密度、熱伝導率及び比熱等の物性評価のために、同条件でのアルミナ及びジルコニアの比較を行い、沸騰の初期の急激な過渡段階での両者の温度降下の差異は小さいが、時間的に事象が進むと若干大きくなることが分かった。
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