2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18770076
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Research Institution | Kitakyushu Museum of Natural History and Human History |
Principal Investigator |
下村 通誉 Kitakyushu Museum of Natural History and Human History, 自然史課, 学芸員 (30359476)
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Keywords | 寄生生物 / 甲殻類 / 等脚類 / 分類学 / 系統学 |
Research Abstract |
本研究課題はヤドリムシ類甲殻類の分類学および系統学に主眼を置いた研究である。北九州市立自然史・歴史博物館に収蔵されている十脚目甲殻類(エビ・カニ類)標本の中からヤドリムシに寄生されているものを探し出して、宿主からヤドリムシを摘出した。その際には寄生部位が鰓腔であるか、腹部腹面であるか、背甲背面であるかを確認し、寄生姿勢についても記録を行った。調査航海は広島大学附属練習船豊潮丸の南西諸晶航海と長崎大学附属練習船の九州西方沖航海に参加して採集調査を行った。これらの調査航海によりヤドリムシ類の寄生したコブシガニ類、コシオリエビ類、ジンケンエビの一種、チヒロエビの一種などを得ることができた。分類学的研究は解剖、プレパラート作成、形態観察、同定、記載の順で行った。実体顕微鏡下で鋭い針を用いて付属肢をはずした後、スライドグラス上にガムクロラールで封入し、微分干渉顕微鏡を用いて形態観察を行った。それらの一部は走査型電子顕微鏡を用いて微細構造の観察を行った。論文作成用に各形質を描画装置を用いてトレースを行い、顕微鏡用カメラで撮影を行った。特に南西諸島から得られたアミヤドリムシの一種 Heterophryxus appendiculatusは太平洋からの初記録であり、詳細に分類学的研究を行い、他海域から報告されている本種とされる種との比較を試み、形態と寄生姿勢を詳細に記載した。また、本種が寄生していたオキアミの一種はこれまでに宿主として記録の無い種であった。この成果はProceedings of the Biological Society of Washington誌に印刷出版された。これ以外のヤドリムシの5種についても分類学的研究の結果、未記載種であることが判明したため現在、記載を進めている。この他に現在、系統学的研究を進めている。
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Research Products
(2 results)