2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18770101
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
須藤 恭子 独立行政法人産業技術総合研究所, 生物機能工学研究部門, 研究員 (90415696)
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Keywords | 核酸 / 蛋白質 / 酵素 |
Research Abstract |
生体内における核酸の伸長反応において、DNAあるいはRNA合成酵素は、一般的に核酸性の鋳型を用いてそれに相補的な配列を合成する。ポリAポリメラーゼ[Poly(A) polymerase]は、鋳型として核酸を用いることなく、決まった配列を付加・伸長する。ポリAポリメラーゼは、そのアミノ酸配列の相同性から、真核生物由来のポリAポリメラーゼのグループと真正細菌由来のポリAポリメラーゼのグループに分けられる。現在までに真核生物ポリAポリメラーゼのX線結晶構造解析は行われているが、真正細菌由来のポリAポリメラーゼの構造は未だに決定されていない。本研究では、真正細菌由来のポリAポリメラーゼを題材として、構造を基にした生化学的手法により、この酵素が鋳型を用いずにRNAを合成する分子機構を明らかにすることを目的としている。 申請者はまず、大腸菌由来のポリAポリメラーゼの結晶化を試みた。大腸菌由来のポリAポリメラーゼのC末端領域の約100アミノ酸残基は、欠失させても活性を維持することが知られている。複数種のC末端が欠失した変異体を作製し、全長のポリAポリメラーゼと平行して、これらの変異体の大量発現系を構築し、それぞれ精製と結晶化スクリーニングを行った。その結果、複数の結晶を得たが、いずれも結晶化の作業後にプロテアーゼによる分解を受けて結晶化しており、分解能は5Å程度と、分子機構を説明するための構造解析を行うには不足であった。変異体の作製によって結晶の空間群を変えても、分解能は変わらなかった。また、分解を受けていないものは結晶が析出しなかった。次に、同じく真正細菌に分類される緑膿菌由来のポリAポリメラーゼをクローニングして、同様に大量発現系を構築し、精製と結晶化スクリーニングを行ったが、結晶は析出しなかった。
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