2006 Fiscal Year Annual Research Report
センサータンパク質における多様な機能獲得機構の解析
Project/Area Number |
18770135
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
山崎 洋一 奈良先端科学技術大学院大学, 物質創成科学研究科, 助手 (40332770)
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Keywords | 光生物科学 / PASドメイン / センサータンパク質 |
Research Abstract |
本研究では、センサータンパク質のPASドメイン部位における多様な機能獲得機構をその補欠分子に着目して、解析している。本年度の研究実績については、申請書に掲げた、(1)同一の補欠分子を持ちながら異なる反応を示すPASドメインタンパク質、(2)補欠分子を持つものと、補欠分子を持たないPASドメインタンパク質の解析について、執り行った。(1)の課題に関しては、補欠分子として同一のp-クマル酸を有する2種類のPhotoactive Yellow Protein(PYP)について、その分光学的な特性の解析を行った。その結果、この2種類のPASドメインタンパク質はアミノ酸の相同性が約60%にもかかわらず、その可視吸収スペクトル、光反応性に大きな違いが現れていることが、明らかになった。この原因は、特定の重要なアミノ酸残基の相違に基づくものではなく、タンパク質全体の安定性によることが示唆された。また、このような、安定性の違いが起きる要因として、相互作用タンパク質の寄与も考えられた。相互作用タンパク質の共存下では、両者の吸収スペクトル上に、非共存下におけるほどの差異は見られなかった。また、(2)の解析においては、補欠分子を持たない光合成色素合成遺伝子発現抑制因子(PPSR)におけるPASドメインの役割を、その相互作用タンパク質であるAPPAとの相互作用において検証した。その結果、PPSRに2個存在するPASドメインのうち1つのPASドメイン部位が、相互作用における接触部位であることを明らかにした。このさい、今まで機能未知であったAPPAタンパク質のC末端部位に結合することも同時に明らかにした。以上のことから、PASドメイン部位が、タンパク質-タンパク質相互作用部位であると同時に、その相互作用が補欠分子の状態に影響を与えていることが示唆された。
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