2006 Fiscal Year Annual Research Report
リポ多糖認識に伴なう生体膜融合及び分泌機構の分子基盤解析
Project/Area Number |
18770137
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
小柴 琢己 九州大学, 大学院理学研究院, 助教授 (70403970)
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Keywords | リポ多糖認識蛋白質 / Factor C / 生体防御機構 / 自然免疫 / グラム陰性菌 / 血球細胞 |
Research Abstract |
生体膜融合現象は様々な生命活動の中心的な役割を担っており、その代表的な例としてはウイルスの細胞への侵入、精子と卵子の受精、及びオルガネラ間の融合などが挙げられ、このことは生体防御機構においても例外ではない。本研究では、カブトガニ顆粒細胞のリポ多糖(LPS)認識により誘導される生体膜融合を通じて、生体防御の分子機構を理解することを目標とする。 カブトガニの顆粒細胞は、大腸菌やサルモネラ菌などのグラム陰性菌表層主成分であるLPSに対して非常に敏感に反応することから、何らかのLPS受容体が顆粒細胞上に存在し、その後の生体防御機構へとつながると以前から考えられてきた。そこで、我々はカブトガニ顆粒細胞中に含まれる、あるLPS認識蛋白質(Factor C)の役割を明らかにするために以下のような実験を行った。 まず初めに、Factor Cの局在を免疫染色法により調べた。その結果、Factor Cは血球細胞上に局在していることが観察され、さらにこの細胞を蛍光ラベル化されたLPSと反応させたところ、LPSは血球細胞上のFactor Cと共存していることが確認された。我々はFactor Cが血球細胞上におけるLPS受容体の一つでありうる推測の下、この蛋白質の構造・機能解析を行い、Factor CのN末端領域に存在する約110アミノ酸領域がLPS結合に寄与していることを明らかにした。実際に、この領域の一次配列を他のLPS認識蛋白質と比較することで、興味深い知見が得られた。それはFactor C及び数種類のLPS認識蛋白質のアミノ酸配列中に2つの塩基性アミノ酸が、ある芳香族アミノ酸を挟んだトリペプチド配列を含んでいるものである。我々は、本当にこの特異的な配列がLPS認識に重要な役割を果たすのかを調べるため、これらアミノ酸残基を置換した変異体でLPS結合実験を行ったところ、見事にその相関性が得られた。
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