2006 Fiscal Year Annual Research Report
細胞の極性化における細胞骨格とメンブレントラフィックの制御機構
Project/Area Number |
18770163
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
中野 賢太郎 筑波大学, 大学院生命環境科学研究科, 講師 (50302815)
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Keywords | アクチン / ミオシン / 細胞骨格 / 小胞輸送 / 低分子量GTPase / 細胞質分裂 / 膜融合 / 細胞形態 |
Research Abstract |
細胞極性は、酵母のような単細胞真核生物の生育からヒトなどの高次生命システムの構築や機能発現に至るまで不可欠である。極性情報の下では、細胞骨格の分布や配向が制御され、方向性を伴った細胞内のメンブレントラフィックが促される。この過程で、アクチン細胞骨格は小胞などを輸送するミオシンなどのモーター蛋白質のレールとして、あるいはそれ自体が重合することで物質輸送の原動力となる。また、細胞質微小管は、生体物質の合成や輸送に携るオルガネラの空間的配置を制御することで、細胞の極性化を推進する。一方、メンブレントラフィックを介して、細胞極性や細胞骨格の制御因子が極性部位に輸送される事例が報告されている。これより、細胞骨格とメンブレントラフィックの相互関係が細胞の極性化に重要であると考えられる。ここ数年の研究から、この過程において低分子量GTPaseを介在したシグナル伝達経路が、極めて重要な役割を果たすことが判明した。本研究においては、最も単純なモデル系として分裂酵母の細胞の極性成長に着目し、これらの因子の働きを解析する。 今年度は、低分子量GTPaseの1つであるRho3について興味深い研究成果が得られた。Rho3は、極性維持因子Pob1を制御することで、極性部位への小胞輸送に関わるアクチンケーブルの形成と小胞の繋留に関わるエクソシスト複合体の働きをカップルさせている可能性が高いことが判明した。分裂酵母は、アクチンケーブルによる輸送系か、小胞繋留システムの両方の機能が同時に損失した場合に限り、極性成長ができなくなることが判明した。哺乳類などの細胞と較べると分裂酵母は小型であるため、小胞輸送系が木全であっても、細胞内拡散である程度は機能がカバーできる可能性が考えられた。さらに、Pob1はアクチン重合促進因子For3と結合することでアクチンケーブルの形成と配向を制御している可能性が示唆された。
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Research Products
(2 results)