2006 Fiscal Year Annual Research Report
宿主昆虫ゲノムに存在する共生微生物由来の転移ゲノム断片の機能の解明
Project/Area Number |
18770219
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Research Institution | The Open University of Japan |
Principal Investigator |
二河 成男 放送大学, 教養学部, 助教授 (70364916)
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Keywords | 遺伝子水平転移 / 分子進化 / 共生 / ゲノム進化 / 転写 |
Research Abstract |
今年度は転移遺伝子の転写産物の同定と定量、および、系統間の転移遺伝子数の違いを明らかにした。転写については、57の転移遺伝子についてRTPCR法により転写産物の有無を確かめた。その結果、35の転移遺伝子についてその転写産物を検出できた。増幅産物は塩基配列決定により確認した。さらに定量的RT-PCR法を用いて35の転移遺伝子について転写産物量を測定した。17の転移遺伝子において、1マイクログラム当たり100-1万コピーの転写産物が存在することがわかった。一方、コントロールとして宿主の遺伝子であるペプチド伸長因子1αのmRNAのコピー数とイントロンRNAのコピー数を測定したところ、各々5千万、1万コピーの転写産物が存在することが明らかになった。以上の結果は、転移遺伝子からの転写が起こっていることを示しているが、転写量はごくわずかであり、転移遺伝子に機能があるかどうかは明確ではない。 系統間の転移遺伝子数の相違に関しては、jCAus、k10U2、r13U1、Rmtetの4つの宿主系統を用いて、転移遺伝子の有無をPCR法により調べた。その結果、jCAusでは57の転移遺伝子が見られるところ、k10U2、r13U1で41の転移遺伝子が存在することがわかった(k10U2とr13U1では同一であり、41すべてjCAusでも見られる)。Rmtetでは、32の転移遺伝子が見られた。うち31は他の系統でも見られたが、残りの1つの遺伝子はRmtet系統のみ保持していることがわかった。以上のように、現在最も転移遺伝子量が少ないと思われる系統であっても、jCAusの半分の転移遺伝子を持っていることがわかり、大規模なゲノムの転移とその集団中への固定が明らかになった。このことは転移ゲノム断片が機能を持つ可能性を示すものである。
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Research Products
(2 results)