2006 Fiscal Year Annual Research Report
森林小流域における土壌および湧水からの亜酸化窒素年間放出量および生成経路の解明
Project/Area Number |
18780049
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Research Institution | Forestry and Forest Products Research Institute |
Principal Investigator |
森下 智陽 独立行政法人森林総合研究所, 立地環境研究領域, 研究員 (90391185)
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Keywords | 亜酸化窒素 / スギ / 落葉広葉樹二次林 / 溶存ガス / 地球温暖化 / 脱窒 / 森林 / 硝化 |
Research Abstract |
本研究の目的は「森林小流域からの亜酸化窒素(N_2O)の年間放出量を推定」である。そこで、平成18年度は「土壌表面からのN_2O放出量の季節変化を把握する」ために、茨城県城里町桂試験地で、下記の研究をおこなった。 1.過去に測定をおこなった他森林からのN_2Oフラックス(単位は全てμg N m^<-2> h^<-1>)との比較 斜面上部落葉広葉樹二次林および斜面下部スギ林で土壌表面からのN_2Oフラックスを測定したところ、年平均N_2Oフラックスは、スギ林で2.77±2.77、広葉樹林で1.44±1.33であり、スギ林の方が広葉樹林よりもN_2Oフラックスが大きかった(P<0.05)。またスギ林土壌のN_2Oフラックスは、日本国内の他の森林土壌からの平均N_2Oフラックス1.88(0.17〜12.5)に比べて、高い傾向にあった。これはスギ林土壌における硝化率、アンモニウム濃度が高いことが原因であると考えられた。 2.本研究地におけるN_2Oフラックスの季節変化のメカニズム スギ林および広葉樹林で測定した毎月のN_2Oフラックスは、土壌温度(P<0.05)および毎月現地培養によって測定した硝化速度(P<0.01)と有意な正の相関を示した。硝化速度に対するN_2Oフラックスの比は、スギ林よりも広葉樹林で大きかった。アセチレン阻害法による土壌室内培養実験から広葉樹林での大きなN_2Oフラックスは、脱窒由来のN_2O生成による可能性が示唆された。斜面上部広葉樹林の方が、斜面下部スギ林よりも土壌水分率は低かったにも関わらず(P<0.01)、広葉樹林で脱窒由来のN_2O生成がみられたのは、土壌中の微細な嫌気部位で脱窒が生じていたためかもしれない。
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