2008 Fiscal Year Annual Research Report
森林小流域における土壌および湧水からの亜酸化窒素年間放出量および生成経路の解明
Project/Area Number |
18780049
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Research Institution | Forestry and Forest Products Research Institute |
Principal Investigator |
森下 智陽 Forestry and Forest Products Research Institute, 立地環境研究領域, 主任研究員 (90391185)
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Keywords | 亜酸化窒素 / スギ / 落葉広葉樹二次林 / 地球温暖化 / 脱窒 / 硝化 / 森林 |
Research Abstract |
本研究の目的は「森林小流域からの亜酸化窒素(N_2O)の生成経路を解明」することである。そこで、平成20年度は、土壌表面からのN_2O放出過程について、硝化および脱窒のどちらが卓越するかを把握するために、前年までと同じ茨城県城里町桂試験地で下記の研究をおこなった。 斜面下部スギ林および斜面上部落葉広葉樹二次林で土壌表面からのN_2OおよびNOフラックスを測定した。6〜8月の平均N_2Oフラックスは、スギ林で3.8μm^<-2>h^<-1>、広葉樹林で2.2μm^<-2>h^<-1>であり、前年までと同様にスギ林のN_2Oフラックスの方が広葉樹林よりも大きい傾向が見られた。また、6〜8月の平均NOフラックスは、スギ林で2.7μm^<-2>h^<-1>、広葉樹林で0.85μm^<-2>h^<-1>であり、スギ林のNOフラックスの方が広葉樹林よりも大きい傾向が見られた。既往の研究から、N_2O/NO 生成比が硝化菌の場合は0.2〜1、脱窒菌の場合は100程度であることが報告されている。本試験地におけるN_2O /NO生成比は、スギ林で1.4、広葉樹林で2.6だったことから、土壌から放出するN_2Oは脱窒過程よりも硝化過程が卓越していると考えられる。 前年までの研究から、大きなN_2Oフラックスが見られる場合は、脱窒過程が卓越している可能性が高いことを示したことから、N_2O放出は通常は硝化過程が卓越しているものの降雨等によって土壌水分率が上昇した際は、脱窒過程が卓越することが本研究から示唆される。
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