2007 Fiscal Year Annual Research Report
必須微量元素セレン特異的原子認識機構とセレンタンパク質生合成装置の解明
Project/Area Number |
18780073
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
三原 久明 Kyoto University, 化学研究所, 助教 (30324693)
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Keywords | セレン / セレンタンパク質 / 必須微量元素 / 酵素 / 翻訳 |
Research Abstract |
大腸菌セレノリン酸合成酵素SelDの部位特異的変異解析を行い、バクテリアSelD間で高度に保存されているシステイン残基Cysl7が本酵素活性に必須であることを明らかにした。また、本酵素の触媒反応において、L-セレノシステインと大腸菌システインデスルフラーゼIscSをセレニド供給基質として用いた場合にもセレノリン酸が効率よく生成されることを見いだした。さらに、IscSはSelDとタンパク質間相互作用することを示す結果を得た。以上のことから、IscSの活性中心システイン残基上に生じるペルセレニドのセレンか、タンパク質間相互作用を介してSelDの活性中心へと転移されることが示唆された。また、アーキアのセレノシステイルtRNA^<Sec>生合成においては、ο-ホスホセリルtRNA^<Sec>キナーゼ(MJPSTK)によるセリルtRNA^<Sec>からのο-ホスホセリルtRNA^<Sec>合成過程が必須であると考えられていた。しかし、メタン生成好熱性アーキアMethanocaldococcus jannaschii由来のSelD、MJPSTK、セレノリン酸合成酵素(MJSecS)のin vitro解析を行った結果、MJPSTKとSelD依存的な経路とMJSecSとSelD依存的な経路の二つの独立した経路によりセレノシステイルtRNA^<Sec>が生成されることを見いだした。さらに、哺乳類に存在する二つのセレノリン酸合成酵素ホモログSPS1とSPS2の機能を検討した。RNA干渉法によってSPS2を抑制したマウス肝由来Hepa1-6細胞においては、セレンタンパク質生合成量の減少が認められたが、SPS1を抑制した場合、影響は見られなかった。また、これらのセレノリン酸合成酵素活性について詳細に検討した結果、SPS2の活性中心残基であるセレノシステインをシステインで置換した変異型酵素SPS2Cysはセレノリン酸合成酵素活性を示すが、SPS1は活性を示さないことが明らかとなった。
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Research Products
(3 results)