2008 Fiscal Year Annual Research Report
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18780146
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
細井 祥子 (田辺 祥子) Kobe University, 内海域環境教育研究センター, 助教 (80423226)
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Keywords | 麻痺性貝毒 / 有毒・有害プランクトン / バラスト水 / 移入種 / 赤潮 / 遺伝マーカー / モニタリング / 分子生物学 |
Research Abstract |
強力な神経毒を生産し麻痺性貝毒の原因となる渦鞭毛藻数種は,世界各地において発生が報告されており, 養殖漁業や公衆衛生上で非常に深刻な問題となっている。本年度においては, 世界各地で頻発している貝毒被害を正確に把握する事を目的として、遺伝子マーカーを用いて貝毒被害の拡大の実際を検証した。 1. 養殖稚魚の移入に伴う麻痺性貝毒新規発生の可能性の検証 麻痺性貝毒発生のグローバル化の原因として考えられているものとして、(1) 水産養殖物の輸入にともなう有毒プランクトンの移入、および(2) 船舶バラスト中に含まれる有毒プランクトンによる移入があげられる。そこでまず, 日本への水産稚魚を介した有毒プランクトンの移入および新規貝毒発生の可能性について検証した。サンプルは, 近年日本への養殖稚魚の移入が急激に増加した海南島の養殖場から採取した。サンプル中に含まれるプランクトン種組成を, 網羅的クローンライブラリー法にて明らかにした結果, サンプル中には日本近海において発生が報告されていない有毒種が多数含まれており, これらプランクトンの日本への新規移入, ならびに新たな貝毒発生が懸念された。 2. バラスト水を介した麻痺性貝毒グローバル化の検証 バラスト水を介した有毒プランクトンのグローバル化が, 非常に問題になっているが, 手法の限界からその詳細は明らかにされていない。そこで, 遺伝マーカーを用いて, バラスト水中の有毒プランクトンの種組成を明らかにするとともに, 培養実験にて実際にバラスト水からの生物の増殖が可能かを調べた。その結果, バラスト水中には多数の有毒プランクトンが含まれていること, また環境条件が良い場合, バラストタンク底泥から有毒プランクトンが優位に増殖する事が明らかとなった。
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