2007 Fiscal Year Annual Research Report
酪農経営における技術進歩の構造とその規定要因に関する計量経済的研究
Project/Area Number |
18780179
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Research Institution | National Agricultural Research Organization |
Principal Investigator |
西村 和志 National Agricultural Research Organization, 九州沖縄農業研究センター・イネ発酵TMR研究チーム, 研究員 (60373247)
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Keywords | 農業経済 |
Research Abstract |
本研究は酪農経営における技術進歩の構造とその規定要因を統計データおよびアンケート調査から明らかにすることを目的としている。本年度は第1に統計データを用いて農区別生産性推移を前年度計測期間よりさらに延長して計測を行った。推定は飼養管理部門、飼料生産部門からなる2段階モデルを想定しノンパラメトリックな方法で生産性、要素結合比率の計測を行ったが、農区により各種指標の変動が激しい。次年度には推移が安定している農区に限定して分析を進めるとともに、全農区パネルデータによる生産関数・費用関数のパラメトリックな推定からもアプローチを試みる。第2に、前年度のアンケート調査の結果から、現在の酪農経営において関心度の高い技術として「TMR給与技術」をとりあげ、導入意向やその規定要因に関するアンケート調査を行った。特に次年度の選択実験におけるプロファイル作成を意識し、TMR技術における重要項目、導入における制約要因、混合・調製済TMRに対する購入限度額(自由記入方式)を設問に盛り込んだ。結果、混合済TMRの導入阻害要因として価格だけではなく、導入にともなう飼料設計の見直しの指摘率が高く、購入限度額においても飼料設計サービスを付帯させることにより平均購入限度額が上昇することが明らかとなった。このことはアンケート対象経営の多くが現状の飼料設計を経営外部に委託していることとも関連があり、高泌乳・高乳脂質を目指した今日の飼料設計方法の精緻化が、酪農経営者の手に届かない領域に達しつつあることを端的に示している。
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