2006 Fiscal Year Annual Research Report
エボラウイルス・ヌクレオカプシド複合体のパッケージング機構
Project/Area Number |
18780226
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
野田 岳志 東京大学, 医科学研究所, 特任助手 (00422410)
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Keywords | エボラウイルス / ゲノムパッケージング |
Research Abstract |
エボラウイルスのヌクレオカプシド複合体は、ウイルスゲノムRNA-タンパク質からなる複合体で、ウイルスゲノムの転写・複製に不可欠な構造物である。感染細胞から出芽する子孫ウイルス粒子が感染性を有するには、このヌクレオカプシド複合体が出芽の場である感染細胞表面に輸送され、ウイルス粒子内に取り込まれなければならない。本年度は、「ヌクレオカプシド複合体のウイルス粒子内へのパッケージング」に焦点を当て、「エボラウイルスの後期アセンブリー機構」を分子レベルで解明することを目標とした。 初めに、ヌクレオカプシド構造物の形成に必須のウイルス因子を明らかにするために、様々な組み合わせでウイルス蛋白質やミニゲノムを哺乳類細胞に発現させた。その結果、NP、VP24、VP35の3つの蛋白質がヌクレオカプシド様構造物の形成に必要不可欠であることを明らかにした(Noda et al.,PLoS Pathog.,2006)。また、形成されたヌクレオカプシド様構造物は細胞質内の核近傍に限局して存在することもわかった。 今度は、ヌクレオカプシド様構造物をエボラウイルスの出芽の場である形質膜に輸送するために必須の因子を探索しだ。その結果、マトリックス蛋白質であるVP40蛋白質が、その輸送に関わることを明らかにした(Noda et al.,PLoS Pathog.,2006)。さらに、VP40蛋白質の共発現により、ヌクレオカプシド様構造物はVP40蛋白質が形成するウイルス様粒子へと取り込まれることが明らかになった.また、ヌクレオカプシド様構造物の細胞内輸送およびウイルス粒子へのパッケージングには、NPとVP40の相互作用が重要であることを明らかにした。
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