2007 Fiscal Year Annual Research Report
温度応答性を付与した天然インテリジェント高分子を用いた経口徐放性液剤の設計
Project/Area Number |
18790029
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Research Institution | Health Sciences University of Hokkaido |
Principal Investigator |
伊藤 邦彦 Health Sciences University of Hokkaido, 薬学部, 講師 (10244857)
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Keywords | 天然高分子 / 経口液剤 / 徐放性 |
Research Abstract |
前年度に引続き、アルギン酸に温度応答性を付与すべく、N-イソプロピルアミド基の導入を検討した。縮合反応によるアミド基の導入は確認されたが、導入量の制御が困難であること、ならびに得られた化学修飾アルギン酸はイオン応答性ゲル化能の低下がみられ、さらに期待した温度応答性は発現しなかった。 そこで別途、イオン応答性と温度応答性の両方を兼ね備えた経口液剤として、温度応答性ゲル化能を有するキシログルカン多糖(GXG-TG)と、イオン応答性ゲル化能を有するペクチンを混合した液剤を設計し、検討を行なった。結果、1.5%GXG-TG/0.5%ペクチン混合液剤は、37℃、ならびにpH 1.2酸性水溶液下のいずれの条件でも形状の優れたゲルを形成し、温度/イオン両応答性を有することが明らかになった。この混合液剤から形成するゲルは、GXG-TGならびにペクチンの単独液剤よりも高いゲル強度を示し、分子間相互作用の存在が示唆された。アセトアミノフェン(AAP)を含有する液剤についてin vitro薬物放出試験を行なったところ、ゲルを形成することによって薬物放出制御能を示した。ラットにAAPを含有下GXG-TG/ペクチン液剤を経口投与したところ、投与直後の一過性の高い血中濃度を抑制し、少なくとも6時間は一定の血中濃度を維持することが示された。投与6時間後のラット胃内にはゲルが高い割合で残存していたことから、GXG-TG/ペクチン液剤の薬物徐放性は、ゲルマトリックスからの薬物放出制御と高い胃内滞留性によるものであることが示唆された。
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