2008 Fiscal Year Annual Research Report
温度応答性を付与した天然インテリジェント高分子を用いた経口徐放性液剤の設計
Project/Area Number |
18790029
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Research Institution | Health Sciences University of Hokkaido |
Principal Investigator |
伊藤 邦彦 Health Sciences University of Hokkaido, 薬学部, 講師 (10244857)
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Keywords | 経口液剤 / キシログルカン / アルギン酸 / 徐放性 |
Research Abstract |
高齢者や嚥下障害患者などの経口固形製剤の服用が困難な患者に服用しやすく、かつ薬物徐放性を兼ね備えた経口製剤として、温度応答性ゲル化能を有するキシログルカン多糖 (GXG-TG) と、イオン応答性ゲル化能を有するアルギン酸ナトリウムを混合した液剤を設計した。 GXG-TGとアルギン酸ナトリウムを各種濃度に混合して液剤を調製し、胃内環境 (37℃、pH1.2) におけるゲル形成性を検討したところ、最適な混合組成は1.5% GXG-TG/0.75%アルギン酸であることを見いだした。この液剤の粘度を測定したところ、高齢者が嚥下しやすい適度な粘性を有することが示唆された。混合液剤からの薬物 (アセトアミノフェン、AAP) の放出をin vitro薬物放出試験より検討したところ、良好な薬物放出制御能を示した。液剤からの薬物放出は、ゲルマトリックス内での拡散が律速段階であったことから、この混合液剤はゲル化することによって薬物放出を制御することが明らかになった。ラットにAAPを含有するGXG-TG/アルギン酸混合液剤を経口投与したところ、投与直後の一過性の高い血中濃度を抑制し、少なくとも6時間に渡って一定の血中濃度を維持することが示された。また、投与6時間後のラット胃内には高い割合でゲルが残存していた。 以上、GXG-TG/アルギン酸混合液剤は、ゲルマトリックスからの薬物放出制御と高い胃内滞留性によって薬物徐放性を示すとともに、適切な粘性を有することで嚥下困難な患者にも服用しやすい経口液剤として有用であるとともに、今後の実用化が期待されることが示唆された
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