2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18790039
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
小原 祐太郎 東北大学, 大学院・薬学研究科, 助手 (40400270)
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Keywords | グリア細胞 / 神経栄養因子 / 神経成長因子(NGF) / 神経突起伸展 / 痴呆 / 1321N1細胞 / PC12細胞 |
Research Abstract |
われわれは天然界由来の低分子性の神経栄養因子関連化合物を探索し、それらの作用メカニズムを詳細に解明してきた。その結果、担子菌ケロウジ(Saroodon sabrosus)から単離された新規ジテルペン化合物のスカブロニン類が1321N1ヒトアストロサイトーマからの神経成長因子(NGF)の生合成を促進することを明らかにしてきた。今年度はケロウジと同属のキノコ(Sarcodon cyrneus)から新たに単離されたシルネイン類およびグラウコピン類の薬理作用をイタリアのMarcotullio博士らのグループと海外共同研究にて検討した。シルネイン類およびグラウコピン類もスカブロニン類と同様にシアタン骨格を有するジテルペン化合物であることから、スカブロニン類と同様の薬理活性を示すことが予想された。実際、1321Nl細胞において、シルネインA, B, C, D,およびグラウコピンCはNGF遺伝子の発現レベルを上昇させた。一方、未分化神経細胞のモデルであるPC12細胞やNGl08-15細胞において、シルネイン類は劇的な神経突起の伸展を引き起こし、神経様に分化させることを新たに見出した(Marcotullio et al.,2006)。そこで、われわれはシルネイン類のPC12細胞の分化誘導メカニズムの解明を試みた。神経細胞分化時に大規模な細胞骨格の再構成がなされることから、アクチンフィラメントを染色したところ、シルネイン類に刺激によりアクチンは神経突起の先端に蓄積することが明らかになった。また、アクチン動態を制御する代表的な低分子量Gタンパク質のRac1の活性化を定量したところ、シルネイン類による時間依存的なRac1の活性化が確認された。さらに、Rac1のドミナントネガティブ変異体を過剰発現させたところ、シルネイン類によるPC12細胞の分化は有意に抑制されたことから、Rac1の関与が明らかになった。
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Research Products
(6 results)