2006 Fiscal Year Annual Research Report
新規腎機能マーカーである血清シスタチンCの薬物投与設計ツールとしての有用性の検討
Project/Area Number |
18790121
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
鳥井 真由美 徳島大学, 医学部・歯学部附属病院, 技術職員 (40403703)
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Keywords | 薬物血中濃度 / シスタチンC / クレアチニンクリアランス / 薬物投与設計 / 血清クレアチニン / Cockcroft-Gault式 |
Research Abstract |
現在、集学治療病棟では抗MRSA薬の血中濃度測定を行い、患者個々の腎機能に基づいた投与設計を行っている。その際、血清クレアチニン濃度(Scr)から算出されるクレアチニンクリアランス(S-Ccr予測値)をGFRの指標として活用している。しかし、患者背景からも集学治療病棟患者では、S-Ccr予測値がGFRを端的に反映していない可能性が高い。そこで、徳島大学病院集学治療病棟患者52名を対象とし、S-Ccr予測値の信頼性について検討を行った。 研究結果から集中治療を必要とする急性期患者において、約18%が臨床的に問題となるS-Ccr予測値とCcr実測値との乖離領域に入っていることが明らかとなった。さらに、残渣(S-Ccr予測値-Ccr実測値)と年齢、性別、BMIとの関連を詳細に検討した結果、下記のことが明らかとなった。 1.65歳以上の群は65歳未満の群よりもS-Ccr予測値とCcr実測値との相関関係が低かった。 2.やせ群(BMI<18.5)は標準群(18.5≦BMI<25)よりも有意に高い残渣を示した。 3.S-Ccr予測値を用いて腎機能を評価する際、男性群では過大評価、女性群では過小評価する傾向があることが明らかとなった。 4.筋萎縮患者で残渣が200〜300mL/minという非常に大きい値を示した。 対象患者の中で抗MRSA薬投与患者において、S-Ccr予測値を用いて算出した予測血中濃度と実測値を比較検討した結果も同様であった。これらの結果は集学治療病棟患者に対する薬物投与設計ツールとしてのS-Ccr予測値の限界を明確に示すものである。これは、高齢、低栄養状態、長期臥床などの筋肉量低下要因を集学病棟患者が多く持っていることに起因すると考えられる。筋肉量の影響を受けないとされるシスタチンC血清濃度の薬物投与設計ツールとしての可能性を強く期待させる結果であった。
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