2006 Fiscal Year Annual Research Report
腎臓の有機カチオン/プロトン交換輸送系を担う機能性分子の同定
Project/Area Number |
18790125
|
Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
井上 勝央 名古屋市立大学, 大学院薬学研究科, 講師 (50315892)
|
Keywords | 有機カチオン / 担体輸送 / トランスポーター / MATE / 尿細管分泌 / 尿細管上皮細胞 / 交換輸送 |
Research Abstract |
中枢性作用薬や循環器疾患の治療薬などの有機カチオン性医薬品の多くは腎臓での尿細管分泌により体外に排泄されることが知られている。この過程においては、尿細管上皮細胞の刷子縁膜に存在する排出系輸送担体(トランスポーター)が重要と考えられている。これまで腎刷子縁膜を用いた一連の研究により、有機カチオンの排泄にはプロトンの濃度勾配を利用した交換輸送(有機カチオン/H+交換輸送系)の関与が示唆されているものの、その機能性分子は未だ不明である。そこで本研究において、有機カチオンの尿細管分泌に関わる機能性分子を同定するため、ラットの腎臓より新規有機カチオントランスポーター(rMATE1)のクローニングを行い、その発現系における輸送特性を評価した。その結果、rMATE1 mRNAの発現は腎臓で顕著に高く、他の様々な臓器でもその発現が確認された。また、rMATE1の発現系において、細胞内pHを低下させることにより、有機カチオンであるtetraethylammoniumやcimetidineへの輸送活性が認められた。これらのrMATE1による輸送親和性やその輸送に対する種々の有機カチオンによる阻害特性は腎刷子縁膜を用いた研究での報告と類似することが示された。したがって、rMATE1は腎尿細管上皮細胞の刷子縁膜における有機カチオンの排出に大きく寄与している可能性が考えられ、従来、考えられてきた腎臓における有機カチオン/H+交換輸送系の機能的実体であることが示唆された。
|