2006 Fiscal Year Annual Research Report
感覚細胞と標的神経細胞の相互作用解析のためのバイオイメージングシステムの開発
Project/Area Number |
18790148
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
阿久津 仁美 岩手医科大学, 医学部, ポストドクター (30398482)
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Keywords | 鋤鼻器 / 鋤鼻感覚細胞 / 尿中刺激物質 / カルシウムイメージング / 初代培養 / ラット / 性周期 |
Research Abstract |
目的:ラット鋤鼻系をモデルとして,末梢の感覚細胞と中枢の標的神経細胞の反応を同時に解析することのできる新しいバイオイメージングシステムを開発する 方法:(1)組織形態を保った鋤鼻器生スライスを用いた鋤鼻感覚細胞のカルシウムイメージング,(2)ラット胎児から分離した鋤鼻感覚細胞の初代培養 結果:(1)雄ラット鋤鼻器生スライスを雌ラット尿希釈液(発情休止期尿,発情前期尿をそれぞれ1000倍希釈)で刺激することにより,雄ラット鋤鼻感覚細胞の尿中刺激因子に対するカルシウム変動をイメージングすることができた。カルシウム変動パターンは発情休止期尿と発情前期尿に対して異なり,細胞内カルシウムイオン濃度が一定時間持続する反応は発情前期尿刺激で多く認められた。また,発情前期尿に強く応答する細胞は,鋤鼻器の中央から吻側にかけて多く分布することが明らかとなった。雄ラット鋤鼻感覚細胞の応答を引き起こした雌ラット発情前期尿は,刺激因子探索の解析に使用予定である。 (2)ラット胎児から分離した鋤鼻器を注射針で物理的に細切し,調整した培養i液中で培養して30日後に蛍光免疫染色を行ったところ,PGP9.5(神経細胞に多く存在するタンパク質で,鋤鼻感覚細胞のマーカーとなりうる)を有する細胞が検出できた。また,細切しきれずに器官の形をある程度留めた鋤鼻器の一部からはPGP9.5陽性の突起が伸長し,複数の突起と共に束の形成が認められた。PGP9.5陽性の細胞は鋤鼻感覚細胞と推測され,伸長した突起は鋤鼻感覚細胞の軸索と思われることから,鋤鼻感覚細胞の初代培養の基礎的な手法は確立できたとみなされる。今後は,鋤鼻感覚細胞の成熟も考慮して,培養期間の検討をおこなう。また,副嗅球神経細胞の初代培養手法の確立も検討予定である。
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Research Products
(1 results)