2006 Fiscal Year Annual Research Report
下垂体前葉のレチノイン酸合成酵素の同定と新たな細胞機能調節メカニズムの解明
Project/Area Number |
18790149
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
藤原 研 自治医科大学, 医学部, 助教 (00382945)
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Keywords | 下垂体前葉 / レチノイン酸 / レチノアルデヒド脱水素酵素 / 細胞間相互作用 / 器官形成 |
Research Abstract |
本年度は下垂体前葉におけるレチノイン酸合成酵素の発現部位をin situ hybridization法(ISH)を用いて明らかにした。 1.レチノイン酸合成酵素(RALDH)のサブタイプ;RALDH1,RALDH2,RALDH3特異的なISHを確立した。 まず、それぞれの遺伝子断片をクローニングし、サブタイプ特異的なDigラベルしたcRNAプローブを作製した。そして、さまざまな固定法およびISHの条件を検討し、特異的シグナルを検出できるようになった。 2.発生期の下垂体におけるRALDHの発現を明らかにした。 下垂体の原基であるラトケ嚢の形成が見られる胎生12日齢から出生直前の胎生20日齢までの各段階の下垂体でのRALDH1,RALDH2,RALDH3のISHを行った。その結果、RALDH2とRALDH3はラトケ嚢で発現し、発生過程を通じて下垂体前葉となる部位に強く発現していた。しかし出生後の下垂体ではそれらの発現は著しく減弱していた。一方、RALDH1は発生過程を通して胎仔の下垂体では発現していなかった。さらに、胎仔、新生仔下垂体のRALDH2,RALDH3の発現をリアルタイムPCR法によりmRNA発現を定量した結果、ISHの結果と同様にそれぞれ胎仔下垂体では強く発現していたが出生後発現量は低下した(研究発表1)。 3.成体の下垂体におけるRALDHの発現を明らかにした。 成体下垂体ではISH及びリアルタイムPCR法を行い、RALDH1が強く発現し、RALDH2とRALDH3はほとんど発現していないことが明らかとなった。ISHによりRALDH1を発現する細胞は下垂体前葉に存在することが分かった。さらに、各種下垂体前葉ホルモン及び非ホルモン産生細胞である濾胞星状細胞のマーカーであるS100タンパク質の抗体で二重染色を行った結果、RALDH1 mRNAはプロラクチン細胞と濾胞星状細胞のそれぞれ一部に発現していることを明らかにした。
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