2007 Fiscal Year Annual Research Report
下垂体前葉のレチノイン酸合成酵素の同定と新たな細胞機能調節メカニズムの解明
Project/Area Number |
18790149
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
藤原 研 Jichi Medical University, 医学部・解剖学講座, 助教 (00382945)
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Keywords | 下垂体前葉 / レチノイン酸 / レチノアルデヒド脱水素酵素 / 細胞間相互作用 |
Research Abstract |
本年度は成体ラット下垂体前葉におけるレチノアルデヒド脱水素酵素1(RALDH1)の発現を詳細に検討した。 1.昨年度はRALDH1のmRNAをin situ hybridization法により同定することに成功したのでタンパク質レベルでの検出を試みた。ラットRALDH1タンパク質の特異的アミノ酸配列からペプチドを合成し、抗体を作製した。下垂体前葉においてmRNA発現細胞と一致する免疫陽性反応を示すRALIDH1特異的抗体を得ることができた。抗RALDH1抗体と各種下垂体ホルモン抗体との免疫二重染色を行ったところプロラクチン細胞と濾胞星状細胞で産生していることが分かった。 2.下垂体でのRALDH1発現は雌雄差があることを見出した。RALDHl mRNA発現量はリアルタイムPCR法を用いた定量的解析、in situ hybridization法と免疫組織化学を用いた定性的解析のどちらにおいても雄に比べ雌では有意に低く、雌の性周期では発情期に最も低いことが明らかとなった。 3.RALDH1の発現はエストロゲンにより抑制されることを明らかにした。雌において卵巣摘出を施すと下垂体でのRALDH1発現は増加し、17βエストラジオールを投与すると著しく減弱することが分かった。さらにエストロゲンの効果は濃度依存的であり、投与後1時間で抑制作用が確認された。 以上のことから、成体ラット下垂体前葉ではRALDH1により局所的にレチノイン酸が合成されパラクライン、オートクライン的に細胞機能を調節する可能性が示された。さらに、性ホルモンがRALDH1発現量を変化させることで局所的レチノイン酸合成を調節する因子の一つとして働く可能性が示された。
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