2007 Fiscal Year Annual Research Report
神経因性疼痛に対してNCAMが担う役割の解析による治療薬の探索
Project/Area Number |
18790184
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
坂井 敦 Nippon Medical School, 医学部, 助教 (30386156)
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Keywords | 神経因性疼痛 / GDNF / レンチウイルスベクター / DRG |
Research Abstract |
グリア細胞株由来神経栄養因子(GDNF)は脊髄髄腔内に投与することで神経因性疼痛モデル動物の疼痛を緩和することが知られている。しかし、GDNFの鎮痛作用に重要なGDNFの作用点を含む鎮痛機序に関しては依然として不明な点が多く、GDNF関連物質による新規鎮痛薬を開発するためには作用機序の解明が重要である。今年度はGDNFの作用部位を明らかにすることを目的として、第5腰椎脊髄神経完全結紮モデル(L5 SNL)マウスにおいてGDNFを局所的に過剰発現させ、その効果を観察した。GDNFとGFPを同時に発現するレンチウイルスベクターを作製し、L4およびL5後根神経節(DRG)や後肢足底、L4/5脊髄へ注射によって導入し、以下の結果を得た。 1.PCR及び免疫組織化学染色によりレンチウイルスベクターに組み込まれた遺伝子が少なくとも2週間は発現することを確認した。また局所微量投与により投与部位に限局して遺伝子を導入できることが確認された。 2.無処置のマウスに、GDNFを組み込んだウイルスベクターを各部位へ投与しても正常の侵害受容には影響を及ぼさなかった。 3.モデルマウスにおいて、神経結紮を行ったL5 DRGへGDNF発現ウイルスベクターを注入しても鎮痛効果はみられなかったが、L4 DRGへの注入によって疼痛緩和効果が観察された。更に、これらのDRG神経の末梢側軸索が終止する後肢足底へのウイルスの投与により鎮痛効果が得られなかったのに対し、中枢側軸索が終止するL4/5脊髄へのウイルス投与によって鎮痛効果が得られた。 以上の結果から、傷害DRGに隣接する無傷のDRGに存在する細胞もしくはその中枢側末端におけるGDNFシグナリングの賦活が鎮痛効果に重要であることが示唆された。
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Research Products
(4 results)