2008 Fiscal Year Annual Research Report
神経因性疼痛に対してNCAMが担う役割の解析による治療薬の探索
Project/Area Number |
18790184
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
坂井 敦 Nippon Medical School, 医学部, 助教 (30386156)
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Keywords | GDNF / NCAM / DRG |
Research Abstract |
グリア細胞株由来神経栄養因子(GDNF)は脊髄髄腔内に投与することで神経因性疼痛モデル動物の疼痛を緩和することが知られている。これまでに、我々はGDNFの鎮痛効果にNCAMが重要な役割を担っていることを明らかにしてきた。また、レンチウイルスベクターを用いてGDNFを局所で過剰発現させることにより、鎮痛発現に重要な標的部位として損傷を受けた脊髄後根神経節(DRG)に隣接するDRGやこれらの中枢側投射先である脊髄後角が重要であることを明らかにしてきた。これらの結果を踏まえ、今年度はGDNFによるNCAMを介した細胞内情報伝達経路の賦活により、DRG神経細胞がどのような影響を受けるのかを明らかにすることを目的として、DRG神経細胞の初代培養系を確立し、検討を行った。 1. 免疫組織化学染色により、初代培養細胞においてGDNF依存性の侵害受容性DRG神経細胞のマーカーであるIB4陽性の神経細胞やNCAMの発現を確認した。 2. 培養細胞において、IB4陽性DRG神経細胞は神経突起を伸ばさない細胞の割合がIB4陰性神経細胞より多かった。 3. 培養DRG神経細胞のNCAM発現細胞の割合はGDNF処理により変化しなかった。 4. NCAM陽性の培養DRG神経細胞の神経突起の形態を、細胞体を中心とした同心円を神経突起が通過する回数を求めるsholl解析を行った。これにより、NCAM陽性神経細胞はGDNF処理することにより、細胞体から近い同心円を通過する神経突起数が上昇する傾向がみられた。 以上の結果から、GDNFがNCAMを介してDRG神経細胞の神経突起形成もしくは分岐を促進する可能性が示された。
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Research Products
(3 results)