2006 Fiscal Year Annual Research Report
血管内皮細胞分化、血管形成におけるホメオボックス転写因子Meis1の機能解析
Project/Area Number |
18790200
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
峯畑 健一 京都大学, 医学研究科, 科学技術振興助手 (50362538)
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Keywords | 血管内皮細胞 / ホメオボックス転写因子 / Meis1 / Flkl |
Research Abstract |
中胚葉細胞から発生する血管内皮細胞は互いに融合して原始血管叢を形成する。この過程(vasculogenesis)の後に、新たな管腔形成を伴うangiogenesisを経て、大血管や毛細血管などの大小の血管網の形成(リモデリング)が起こる。この変化に伴って、動・静脈への分化が起こり正常な血管形成が行われる。近年、分子生物学的手法や遺伝子欠損マウスを用いた実験により、血管内皮細胞の分化や血管網形成の分子メカニズムが徐々に明らかにされてきている。この過程では、血管内皮細胞成長因子(VEGF)やNotch,Shhシグナルが重要な役割を果たしている。申請者はゼブラフィッシュを用いてこの血管内皮細胞の分化・血管網形成の過程に、ホメオボックス転写因子であるMeis1がいかに関わっているか、を明らかとすることを目的として、研究を進めている。 モルフォリーノによる翻訳阻害によって、Meis1遺伝子の機能をゼブラフィッシュ胚で阻害した場合、VEGFの受容体であるFlk1の発現が顕著に低下することがわかった。また、血管内皮細胞全般に発現しているFli1で血管形成を見たところ、大血管は存在していたものの、体節間を走る血管が喪失していた。また、本来動脈が位置している部位での動脈マーカーの発現がなくなっており、その代わりに静脈マーカーの異所的発現が見られた。一方で、VEGFやVEGFの上流で働くと考えられるShhの発現は変化していないことに加えて、動脈分化に重要なNotch5の発現の変化も認められなかった。また、Meis1と協同的に働くことが知られているPbx4遺伝子の機能を阻害した場合には、正常な血管内皮細胞の発生が認められた。このことから、Meis1はPbx4とは独立に血管内皮細胞の発生に関与している可能性がある。申請者は、Meis1の発現はマウスやヒト由来血管内皮細胞細胞株Huvecにおいてタンパクレベルで発現していることを確認している。このことから、Meis1は血管内皮細胞内で働いている可能性が高い。今後は、Meis1がいかにFlk1の発現を制御しているかを明らかとしていく予定である。
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