2006 Fiscal Year Annual Research Report
生後発達期における小脳顆粒細胞の電気的性質変化が神経回路形成に果たす役割
Project/Area Number |
18790209
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Research Institution | Osaka Bioscience Institute |
Principal Investigator |
岡澤 慎 (財)大阪バイオサイエンス研究所, システムズ生物学部門, 研究員 (40414130)
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Keywords | 静止膜電位 / 小脳顆粒細胞 / 神経分化 |
Research Abstract |
神経回路が機能性を獲得するには、発達過程、特に生後直後の神経細胞の活性調節が必須である。近年の分子生物学を駆使した脳研究により、神経回路形成期の遺伝子発現パターンが明らかになりつつある。一方で、電気生理学的に、発達過程において神経細胞の静止膜電位など電気的性質が大きく変化することがさまざまな神経細胞を対象とした研究で報告されている。しかしながら、これらの電気的性質の変化が、神経回路形成にどのように関与しているか、不明な点が多い。本研究の目的は、神経細胞の電気的性質の変化が、神経回路形成にどのように関与しているかを分子レベルで明らかにすることである。 平成18年度は初代培養を用いたin vitroの分化系において、膜電位の変化のメカニズムを薬理学的に検討した。さまざまな阻害剤を培養液に添加し、分化マーカー遺伝子の発現を定量的CR法を用いて検討した。その結果、leakのカリウムチャネルの阻害剤、bupivacaineが、多くの分化マーカー遺伝子の発現を抑制した。一方、電位依存性カリウムチャネルの阻害剤、TEAなどは一部の分化マーカー遺伝子の発現のみ抑制した。これらの結果から、leakのカリウムチャネルの活性が小脳顆粒細胞の分化に寄与していることが示唆された。 また、小脳顆粒細胞の分化に関わる遺伝子の発現を抑制する効果的な方法を検討した。プラスミドDNAを用いたshRNAによるRNAi法および、アデノウイルスを用いたRNAi法、siRNAを用いたRNAi法を検討した。その結果、siRNAをエレクトロポーレーションにより導入する方法が、最も効率的に遺伝子発現を抑制できることがわかった。
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