2007 Fiscal Year Annual Research Report
エピジェネティックレベルでの癌の免疫逃避機序の解明
Project/Area Number |
18790250
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
針生 寛之 Sapporo Medical University, 医学部, 研究員 (40404587)
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Keywords | ヒストンアセチル化 / HLA class I / 癌抗原 / 免疫逃避 / 乳癌 / 前立腺癌 |
Research Abstract |
(1)正常組織と各種癌組織におけるMHC class I分子の発現 抗Pan-HLA class I抗体と抗B2-microglobulin抗体を用いて,さまざまな正常組織と腫瘍組織におけるHLA class I関連分子の発現を検索した。その結果,乳腺と前立腺組織では正常でもHLA発現レベルは低く,乳癌組織と前立腺癌組織の約8割にHLA発現消失または発現低下が認められた。他の癌種では,約3割で低下していた。 (2)geneticレベルとepigeneticレベルにおけるMHC class I発現制御の分子機構 大腸癌では主に遺伝子変異によってHLAの発現が低下しているのに対し,前立腺癌と乳癌における発現低下は,主にB2-microglobulin遺伝子のヒストン脱アセチル化が原因であることが判明した。Geneticな変化はいずれの癌種でもほとんど認められなかった。また,遺伝子メチル化の関与も低いことが判明した。 (3)Epigeneticメカニズムによる癌免疫逃避の解析 DNAマイクロアレイを用いてヒストン脱アセチル化によって発現が低下しているHLA class I以外の抗原分子について解析した。その結果,MICA/MICB(NK細胞標的分子)の他,いくつかのImmunodominantな癌抗原分子が見出された。今後は,乳癌と前立腺癌においてヒストン脱アセチル化が充進する分子機序について解析する。
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