2006 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト癌細胞浸潤・転移におけるADAM28の役割解析
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18790254
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
下田 将之 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (70383734)
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Keywords | a disintegrin and metalloproteinase(ADAM) / P-selectin glycoprotein ligand-1(PSGL-1) / 前立腺癌 / 転移 / P-selectin |
Research Abstract |
ADAM(a disintegrin and metalloproteinase)は、ヘビ毒メタロプロテアーゼおよびディスインテグリンと相同なドメインを持つタンパク質群の総称である。これまで申請者らはADAM28がディスインテグリンドメインを介してPSGL-1に結合し、PSGL-1/P-selectin結合系を促進することを明らかにした。本研究では、ヒト前立腺癌組織あるいは細胞株におけるPSGL-1とADAM28の発現を検討し、ADAM28によるPSGL-1を介した前立腺癌細胞の血管内皮細胞への接着促進作用、さらには癌転移亢進作用の可能性を検討した。 まず、PSGL-1を発現する前立腺細胞株(MDA PCa 2b細胞)とPSGL-1を発現しない前立腺癌細胞株(PC-3細胞)をリコンピナント分泌型ADAM28(ADAM28s)とインキュベーションし、固相化P-selectinへの接着能を検討した。PSGL-1を発現するMDA PCa 2b細胞は固相化P-selectinへ接着するものの、その接着能はリコンビナントADAM28sの存在下で特異的に促進した。一方、PSGL-1を発現しないPC-3細胞は固相化P-selectinへほとんど接着しないだけでなく、リコンビナントADAM28s存在下でもその接着能に変化がなかった。さらにヒト前立腺癌の手術材料を用いて、免疫染色にてPSGL-1とADAM28の発現を検討した。PSGL-1とADAM28は、原発巣の一部の前立腺癌細胞において軽度〜中等度の発現を認めるとともに、骨転移巣においてADAM28のより強い発現を認めた。今後、さらに症例を増やしてPSGL-1/ADAM28の発現パターンと癌転移との関係を解析していく予定である。
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