2006 Fiscal Year Annual Research Report
マラリア重症化における膜結合型ケモカインの機能的役割に関する研究
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18790290
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
畑生 俊光 群馬大学, 医学部, 助手 (60344917)
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Keywords | 膜結合方ケモカイン / 熱帯熱マラリア / 貧血 / 重症正球性貧血 / 単核貪食細胞 |
Research Abstract |
研究初年度は、膜結合型ケモカインCXCL16/SR-PSOX(CXCL16)のクローニングと発現細胞の作製を行った。作製したCXCL16発現CHO細胞は高率かっ安定的にCXCL16を細胞表面に発現していることをFACScanで確認した。併せて、熱帯熱マラリア原虫感染赤血球表面のホスファチジルセリン発現も検討したところ、高率に発現していることを確認した。そこで、CXCL16発現CHO細胞に対して熱帯熱マラリア原虫感染赤血球を添加し、90分共培養したところ、CXCL16発現細胞に対して多数のマラリア原虫感染赤血球の接着が光学顕微鏡下で確認できた。さらにこの接着は、ケモカインドメインに対する抗CXCL16抗体やアネキシンVで阻害されることを確認した。このことから、CXCL16と熱帯熱マラリア原虫感染赤血球の接着は、CXCL16のケモカインドメインを介していること並びにCXCL16のケモカインドメインを利用していると推測できる。続いて脳マラリアで死亡した患者病理組織切片を利用し、抗CXCL16抗体を用いた免疫染色により、CXCL16の発現を臓器別に検討した。その結果、脳血管内皮細胞、肝臓並びに脾臓の単核貪食細胞でCXCL16のシグナルが観察された。以上のことから、CXCL16を介したマラリア原虫感染赤血球の貪食が推察されたため、in vitroにおけるマラリア原虫感赤血球貪食の抗CXCL16抗体による阻害を検討した。その結果、こうCXCL16抗体添加群において原虫感染赤血球貪食率の低下が観察された。これらのことから、CXCL16はマラリア原虫感染赤血球表面に発現するホスファチジルセリンを認識した貪食を介在し、マラリア重症化時の貧血において一定の役割を担っている可能性が推察された。
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