2006 Fiscal Year Annual Research Report
腸管M細胞特異的に発現する遺伝子群の分子機能及び個体レベルにおける高次機能の解析
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18790343
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
長谷 耕二 独立行政法人理化学研究所, 免疫系構築研究チーム, 研究員 (20359714)
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Keywords | M細胞 / 上皮-リンパ間相互作用 / FEA / バイエル板 / B細胞 / CCL20 / CCR6 / ケモカイン |
Research Abstract |
これまでの研究では、M細胞は、バイエル板ドームを取り囲むクリプト(陰窩)底部にて発生した前駆細胞が、バイエル板ドーム頭頂部へと移動する過程でリンパ濾胞内の細胞と相互作用することにより分化すると考えられてきた。これにはバイエル板上皮-リンパ球間のクロストークを仲介するエフェクター分子が必要と考えられるが、申請者はバイエル板上皮より分泌される特殊なケモカインがその役割を担っていると予想し、ケモカイン発現プロファイルの解析を行った。その結果、CCL9,CCL20及びCXCL16がバイエル板上皮特異的に発現することを見出した。このうち興味深いことに、CCL20の受容体であるCCR6欠損マウスでは、バイエル板におけるM細胞数は大幅に減少していた。この結果から、CCL20がバイエル板ドーム領域へのリンパ球動員シグナルとして、M細胞分化誘導に必要な重要な役割を果たすことが明らかとなった。CCR6欠損マウスのバイエル板免疫担当細胞の組成を野生型マウスと比較検討したところ、CD11c+CD19+細胞の著しい減少が認められた。 CD11c+CD19+細胞は、野生型マウスのバイエル板細胞の中で最も強くCCR6を発現しており、CCL20に対して選択的な遊走活性を示した。またCD11c+CD19+細胞を蛍光ラベルして、野生型マウスへ細胞移入を行うと、バイエル板ドーム直下のsubepithelial dome (SED)領域へのホーミング活性を示した。これらの結果から、CD11c+CD19+細胞はM細胞分化誘導に何らかの役割を果たす細胞と目されるため、現在、この細胞の詳細な表面マーカー及び機能の解析を行っている。
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