2006 Fiscal Year Annual Research Report
インターロイキン6依存性MHCクラスII分子の発現制御と樹状細胞の機能に及ぼす効果
Project/Area Number |
18790346
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
北村 秀光 北海道大学, 遺伝子病制御研究所, 助教授 (40360531)
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Keywords | インターロイキン6 / 樹状細胞 / MHCクラスII / 抗原提示 / 免疫制御 |
Research Abstract |
生体防御にとって重要な働きを持つサイトカインであるインターロイキン6(IL-6)は免疫担当細胞に対して作用し、それらの細胞機能を高度に制御している。本年度においてIL-6が樹状細胞(DC)のMHCクラスII分子の発現、細胞内輸送に対して、IL-6がどのような作用をもつかについて検討した。またIL-6によるDCのMHCクラスII分子発現や制御、CD4^+T細胞活性化に関する分子メカニズムを解明する事を試みた。 マウス骨髄から分化誘導したDCをIL-6で処理すると、処理時間依存的に細胞内MHCクラスII分子が減少する事を見いだした。この現象はIL-6のシグナル伝達系が樹状細胞内で、転写活性化因子(STAT3)依存的に細胞内のプロテアーゼ阻害剤(シスタチンC)レベルを減少させることでリソソームプロテアーゼであるカテプシンSの酵素活性が上昇し、この活性化によってMHCクラスII分子そのものが減少することに起因する事を、分子生物学・生化学的手法等で証明した。さらにこのMHCクラスII分子の減少したDCはCD4^+T細胞の活性化能も抑えられていることも明らかにした。 この研究成果は、DCにおけるリソソームプロテアーゼ活性化の分子メカニズムやIL-6の作用機序解明だけではなく、IL-6により積極的にプロテアーゼ活性を制御できるとともに、DCとCD4^+T細胞が関与する免疫応答もコントロールされる可能性をも示している。今後、さらにIL-6による新たなMHCクラスII分子挙動を制御する因子の解析を行う。IL-6処理有る無しの条件でLPSやCpG等を使用し、DCに刺激を入れた時のMHCクラスII分子局在変化を制御する因子を検索する。これらの条件で変化の見られた因子についてMHCクラスII分子の局在を制御しているか否か、レトロウイルスによる遺伝子導入法にて検証する予定である。
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