2007 Fiscal Year Annual Research Report
肝細胞分化の分子機構の解析と致死的肝不全モデル動物への細胞移植療法の開発
Project/Area Number |
18790444
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
柿沼 晴 The University of Tokyo, 医科学研究所, 産学官連携研究員(特任助教) (30372444)
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Keywords | 再生医学 / 肝細胞 / 幹細胞 / 発生・分化 / 細胞移植 / Wnt経路 / TCF |
Research Abstract |
我々は当該研究において、純化した初代肝幹/前駆細胞を用いて肝細胞分化に関わる分子機構を解析し、その結果をもとに、致死的肝疾患モデルマウスを肝幹細胞の移植によって救命する細胞移植モデルを開発する研究を行い、今年度の成果として下記を得た。 (1).マウス肝幹/前駆細胞の分離、分化誘導培養系の確立・改良:平成18年度より継続して施行した。さらに、胆管細胞への分化誘導系も導入し、安定したbranching formationを得た。(2).肝細胞分化の分子機構の探索:肝前駆細胞における転写因子TCFの機能を解析するためdnTcf-4を強制発現させて肝幹/前駆細胞への影響を解析した。dnTcf-4群では肝細胞への分化と増殖の双方が明瞭に抑制された(第43回日本肝臓学会総会などで報告)。さらに転写因子Prox1が肝前駆細胞の増殖に関与することを示した(Hepatology, in press)。(3).肝不全モデルマウスヘの細胞移植実験系の確立:野生型マウスを用いた細胞移植実験系の確立を行ってきたが、放射線照射と肝切除を組み合わせた前処置によって、野生型マウスにも細胞移植の効果を判定できる系を確立した。(4).肝不全モデルマウスヘの肝幹/前駆細胞の移植:この結果に基づき、肝幹/前駆細胞に対してdnTcf-4を強制発現させ、その細胞を移植することで移植効果の差について検討したところ、肝幹/前駆細胞の増殖能をTCFが制御していることをin vivoでも示した(第11回日本肝臓学会大会で報告)。(5).新たな肝不全モデルマウスヘの細胞移植系の構築:さらに新規移植モデルの構築を行い、薬物投与と肝切除を組み合わせた前処理によって、レシピエント肝の50%以上がドナー細胞により置換されたことを確認した。本研究の成果をさらに、発展的に今後遂行予定の研究課題に継承する予定である。
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