2006 Fiscal Year Annual Research Report
肥満における逆流性食道炎発症とグレリン動態の実験的検討
Project/Area Number |
18790471
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
岩崎 栄典 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (10366172)
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Keywords | グレリン / 肥満 / 逆流性食道炎 / 動物モデル / タイト結合 / 酸化ストレス |
Research Abstract |
1 急性酸逆流性食道炎モデルにおけるグレリン動態 胃幽門結紮と前胃縫縮による急激な食道逆流をおこし、6時間後に剖検に供した。シャム手術群と比べ、血漿グレリン値の有意な低下を認めたが、胃内グレリン含量、グレリン陽性細胞数およびグレリンmRNA量ともに有意な変化を認めなかった。(第92回消化器病学会にて発表)。 2 慢性酸逆流性食道炎モデルにおけるグレリン動態 Omuraらの報告に従い酸逆流によるラット慢性酸逆流性食道炎モデルを作成した。幽門部に2.0mm 18Frのネラトンカテーテルを巻き付けて狭窄を作製し、胃排出を障害し、前胃を結紮することで易逆流性とした。2週間後に解剖し、検体採取した。開腹手術のみのシャム手術群、十二指腸狭窄のみの胃排出障害群と比較し、病理所見、食道上皮での酸化ストレスの評価、グレリン動態を検討した。 (1)酸化ストレスの関与:逆流性食道炎群では肉眼的、組織学的びらんを認めた。また食道粘膜有棘細胞層で酸化ストレスが発生し、同部位でタイト結合タンパクの発現部位の変化を認めた。酸曝露により食道粘膜有棘層において酸化ストレスを介してタイト結合の障害が起こり、びらん形成を起こすことを示した(第15回消化器とフリーラジカル研究会、12th International Conference on Ulcer Researchにて発表)。 (2)血漿グレリン動態:胃排出障害の処置をした群で血漿グレリンおよび胃内グレリンmRNAが上昇する一方で胃グレリン含有量が低下することがわかった。研究代表者らは機能性胃腸症でグレリンが上昇することをすでに報告しており、胃排出障害、胃食道逆流がグレリン発現を促していることが示唆された(第92回消化器病学会、The 16th International Symposium on Regulatory Peptidesにて発表、投稿中)。
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