2006 Fiscal Year Annual Research Report
CD26に基づく難治性糸球体腎炎の治療応用への基礎的研究
Project/Area Number |
18790579
|
Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
小林 政司 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助手 (80408400)
|
Keywords | CD26 |
Research Abstract |
CD26に基づく難治性糸球体腎炎の治療応用への基礎的研究として平成18年度は下記の研究を行なった。CD26はT細胞受容体からのシグナル伝達を補助的に増強する共刺激分子の一つで、T細胞増殖活性に重要である。まずCD26の各種T細胞表面への発現量に関しフローサイトメトリーを用いて評価した。CD45RA陽性T細胞ではCD26の発現は一峰性であったが、CD45RA陽性T細胞では三峰性を認めた。各T細胞におけるCD26の発現量の差異によるT細胞活性化の相違を評価するため、各T細胞を抗CD3単抗体及び抗CD26単抗体による共刺激後、トリチウムチミジンを用いて細胞増殖活性を測定した。CD45RO陽性T細胞ではCD26による共刺激にて増殖活性を認めたが、CD45RA陽性T細胞ではCD26による増殖活性の減弱を認めた。同様に抗CD3単抗体及び抗CD28単抗体による共刺激にて各T細胞の増殖活性を測定したが、この共刺激系では両T細胞間に増殖活性の差は認められなかった。T細胞が抗原刺激を受けた際、T細胞内のLckがCD45による脱リン酸化後、T細胞活性化シグナル伝達を行なう。CD26による共刺激の際、CD26はCD45と協調する事が知られている。抗CD26単抗体刺激後の各T細胞表面のCD26及びCD45の発現量に関しフローサイトメトリーを用いて評価した。CD45RO陽性T細胞ではCD26及びCD45ROのT細胞表面での発現量の低下を認めた。一方、CD45RA陽性T細胞ではCD26及びCD45RAのT細胞表面での発現量の低下を認めた。特にCD4陽性CD45RA陽性T細胞ではCD26とCD45RAが協調してT細胞表面での発現量が低下している事を認めた。CD45はLckの活性化に重要な役割を果たしている。今後、難治性糸球体腎炎患者の末梢血T細胞でのCD26及びCD45の分子動態を精査する予定である。
|