2006 Fiscal Year Annual Research Report
甲状腺癌における癌幹細胞の単離同定とその生物学的特性の解析
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18790637
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
光武 範吏 長崎大学, 大学院医歯薬学総合研究科, 助手 (50404215)
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Keywords | 甲状腺癌 / 癌幹細胞 / Side population |
Research Abstract |
5種類の甲状腺癌細胞株(ARO,FRO,NPA,TPC1,WRO)を用いて、side population(SP)細胞の検索を行なった。ARO,FRO,NPA,WROには非常に少数のSP細胞を認めたが、TPC1には認められなかった。次に、SP細胞をセルソーターで単離し、その解析を行なった。SP細胞はその他大部分の非SP細胞と比較し、コロニー形成能が有意に高かった。またSP細胞を培養すると、SP細胞だけではなく、非SP細胞が生み出され、再びSP細胞、非SP細胞の混成集団となる事も分かった。細胞密度を非常に低く保って培養したところ、SP細胞の分画が増加した。これは、低細胞密度培養下では、SP細胞の生者、増殖力が非SP細胞のそれよりも高い事を示唆していると考えられた。SP細胞と非SP細胞からそれぞれRNAを単離し、cDNAマイクロアレイ法により遺伝子発現を検討したところ、それぞれの遺伝子発現パターンはかなり異なっており、SP細胞では幹細胞で重要な役割を果たしているとされるWntやNotchシグナルの活性化を示唆するデータが得られた。しかしながら、非SP細胞を培養した細胞集団にも、非常に少数ながらSP細胞が含まれ、この事から非SP細胞からSP細胞が作られる事もあるという事が示唆された。さらにSP細胞、非SP細胞のヌードマウスでの腫瘍形成能を調べたところ、SP細胞の方が腫瘍形成能が高い傾向は見られたものの、非SP細胞からもある程度の腫瘍形成が見られた。以上の結果から、SP分画には、癌幹細胞様細胞が濃縮されており、甲状腺癌でも癌幹細胞の存在が示唆される。しかしながら、非SP分画にも癌幹細胞の混入があると考えられ、SP法では完全に癌幹細胞を分離する事は出来ず、さらなる濃縮、精製法の追加、開発が必要であると考えられた。
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Research Products
(1 results)