2007 Fiscal Year Annual Research Report
顆粒球分化の調節機構の解明:未分化性を標的とした新たな抗腫瘍療法を目指して
Project/Area Number |
18790708
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
中村 誠 University of Yamanashi, 大学院・医学工学総合研究部, 医学研究員 (10422685)
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Keywords | 顆粒球分化 / Notch 1シグナル / MAML 1 / GATA 2 / C / EBPα / PU.1 |
Research Abstract |
造血細胞の運命決定や分化の多くの場面は,Notchシグナルを介した調節機構により制御されている。リンパ球系に関しては,Notch1シグナルがBリンパ球への分化を阻害し,Tリンパ球への分化を誘導することが報告されている。我々は,Notch1シグナルの増強により顆粒球の分化が遅延すること,それにはNotch1の共役因子MAML1を必要とし,転写因子GATA2の誘導を伴うことを報告した。顆粒球の分化は,PU.1やCCAAT/Enhancer-binding Protein α(C/EBPα)などの転写因子により誘導されることから,Notch1-MAML1-GATA2シグナルのPU.1やC/EBPαに対する影響を検討し,以下の2点が明らかとなった。(1)コントロール細胞に比べて,活性化型Notch1受容体(intracellular Notch 1,ICN1)の導入された顆粒球系前駆細胞32Dでは,未分化な状態および分化の誘導された状態でPU.1のメッセンジャーRNAと蛋白の発現量が減少する。(2)GATA2は,アミノ酸配列の377番から415番までの領域を介してC/EBPαに結合する。 以上の結果から,Notch1-MAML1-GATA2シグナルが,PU.1の発現の抑制を介して顆粒球の分化を遅延させる可能性が示された。GATA2とPU.1遺伝子のプロモーター領域の結合について,ゲルシフトアッセイ法で検討中である。また,GATA2がC/EBPαに結合することで,C/EBPα自身の活性がどのように変化するのかをルシフェラーゼアッセイ法で検討中である。
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