2006 Fiscal Year Annual Research Report
高親和性IgE受容体β鎖の機能解析とシグナル伝達の解明
Project/Area Number |
18790709
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
寺田 知新 岐阜大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (30345780)
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Keywords | アレルギー / シグナル伝達 / FcεRI / ERK |
Research Abstract |
野生型β鎖とβ鎖C末端領域の6アミノ酸を欠失させたβ鎖変異体を、β鎖ノックアウトマウス由来の骨髄培養マスト細胞に導入し、FcεRI(高親和性IgE受容体)β鎖C末端領域の機能解析を行った。 1.β鎖変異体では、IgEとの結合能は正常で、β鎖自身のリン酸化やマスト細胞のシグナル伝達に重要な役割を果たすLynやSyk、JNK(c-jun N-terminal kinases)、p38などのリン酸化には有意差がないにも関わらず、抗原刺激後のERK(extracellular signal-regulated kinases)のリン酸化は著明に抑制されていることを明らかにした。 2.β鎖変異体では、脱穎粒反応の低下に加えて、IL-6やIL-13といったサイトカインの産生も著明に低下していた。さらにロイコトリエンなどのケミカルメディエーターの産生も著明に低下していることを明らかにした。 3.FcεRIを介するシグナル伝達に重要であるCa2+influxについて検討したが、野生型とβ鎖変異体において有意差はなかった。 4.野生型β鎖を導入したマスト細胞にMEK1/2の阻害剤であるUO126を用いた後に脱顆粒反応、IL-6、IL-13を測定し、ERKがFcεRIを介する脱穎粒反応、IL-6、IL-13の産生に影響を及ぼすことを明らかにした。Ca^<2+>influxには有意差は認められなかった。 5.β鎖C末端領域6アミノ酸の中に存在する3つのセリン残基のリン酸化についてはin vitrokinase assayにて検討した。3つのセリン残基のいずれもリン酸化は認められず、マスト細胞のβ鎖を介するシグナル伝達には影響をあたえないことが明らかになった。
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Research Products
(1 results)