2008 Fiscal Year Annual Research Report
乾癬における転写因子GLISの働き及びそのNOTCHシグナルへの影響について
Project/Area Number |
18790788
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Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
中西 元 Shiga University of Medical Science, 医学部, 講師 (80314673)
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Keywords | Jagged-1 / Glis-1 / Notch |
Research Abstract |
HPV関連皮膚疾患とGlisl, Notchシグナル 皮膚におけるHPV感染症として、疣贅や表皮内癌であるBowen病、また浸潤がんである有棘細胞癌があり、それぞれ特有の表皮の肥厚が生じている。前年度の計画どおり、Glis1、Glis2、そしてNotchシグナルの変化が尋常性乾癬の表皮と比較して異なるのか、あるいは、共通する部分があるのか調べた。HPV-33型によって生じた疣贅ではGlis1は乾癬の表皮と同様に発現が増強していた。また、逆に、HPV-33型によって生じたBowen病ではNotchを切断するために必要なpresenilin-1がきわめて減弱していることを以前報告しているが、尋常性乾癬の表皮でも同様にpresenilin-1の発現は減弱していた。HPVによって生じた表皮肥厚でも、Glis1やNotchシグナルに関しては、乾癬表皮の肥厚と類似の機序がある可能性が示唆された。 乾癬表皮、ヒト表皮角化細胞におけるJagged1の発現、機能の検討 乾癬表皮では、正常表皮に比較して、Jagged-1蛋白の発現は増加しているが、Jagged-1mRNAの発現はむしろ減弱していた。乾癬表皮ではなんらかのメカニズムでJagged-1蛋白の安定性が保たれる可能性が示唆された。また、Jagged-1の一部は、表皮角化細胞、及び正常表皮、乾癬表皮のいずれにおいてもC末端の近くで切断されることが分かった。また、乾癬表皮のようにJagged-1の発現が増加している組織では、切断されたJagged-1の発現も増加していた。さらに、Jagged-1を三次元培養皮膚に加えると、表皮が肥厚するとともに錯角化が生じ、免疫染色ではインボルクリンの発現やケラチン17の発現が増強すると同時にフィラグリンの発現が減少し、乾癬表皮と類似の状態になることがわかった。
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