2006 Fiscal Year Annual Research Report
血管特異的ノックアウトマウスを用いた血管及びリンパ管発生におけるSTAT3の役割
Project/Area Number |
18790792
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
平川 聡史 愛媛大学, 医学部附属病院, 講師 (50419511)
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Keywords | 細胞・組織 / 発現制御 / 動物モデル / 血管新生 |
Research Abstract |
本年度は、Cre-loxPシステムを用いた血管特異的STAT3コンディショナル・ノックアウトマウスの作製を行った。Tie2プロモーターは、マウス胎生期8.5日で活性化し、血管特異的に発現する。このステージ以後、循環系の形態発生は著しく変化する。すなわち、血管網の再構築<リモデリング>が起き、さらに血管からはリンパ管が発生する。従って、血管を制御する遺伝子の働きを検討する上で、Tie2プロモーターを用いる遺伝子操作は極めて合目的である。今回、Cre-loxPシステムを用いたTie2プロモーターによる血管特異的コンディショナルノックアウトマウスの作製に着手した。これは、Tie2プロモーターにより発現したCre-recombinase活性により、あらかじめloxP siteを挿入したSTAT3を、DNAレベルで破壊,除去するものである。Tie2-Cre STAT3^<-/->及びTie2-Cre STAT3^<+/->を得るために、二世代にわたる交配を施行した。Tie2-Creマウスは大阪大学高倉伸幸博士から、またloxP-flanked STAT3マウス(STAT3^<flox/+>)は大阪大学審良静男博士から供与されたものである。交配の結果、メンデルの法則に従ってTie2-Cre STAT3^<-/->は出生することが明らかとなった。しかしながら、出生3週後よりTie2-Cre STAT^<3-/->の成長はTie2-Cre STAT^<3+/->に比べて抑制されることが見出された。すなわち、Tie2-Cre STAT3^<-/->は個体として小さいことが明らかとなった。従って、平成19年度はTie2-Cre STAT^<3-/->における成長抑制因子を評価し、詳細に検討する予定である。特に、四肢末梢の皮膚が蒼白であることから、リンパ管を含めた脈管構築異常に起因する循環障害や造血系障害の可能性を考え、STAT3破壊による組織制御機構の病態を明らかにし、生体におけるSTAT3の組織特異的役割の解明を目指す。
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Research Products
(5 results)