2006 Fiscal Year Annual Research Report
神経細胞接着因子と依存との関連に基づく依存症治療薬確立への応用
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18790823
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
石黒 浩毅 筑波大学, 大学院人間総合科学研究科, 講師 (20375489)
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Keywords | 依存 / 神経細胞接着因子 / NrCAM / グルタミン酸神経 / パスウェイ / ペプチド / siRNA / ノックアウトマウス |
Research Abstract |
平成18年度においては、ヒト神経系培養細胞にNrCAM遺伝子発現を抑制する目的でsiRNAを培地内投与(48時間)することで、Nr-CAM遺伝子の発現を50〜80%抑制することに成功した。この培養細胞からtotalRNAを抽出して、oligo dTプライマーによるreverse transcript (RT)を行いcDNAを作成した。このRNAおよびcDNA試料を用いて以下の実験を行った。 まず、500ngのRNAについては、イルミナシステムのbeads arrayを用いた遺伝子発現プロファイリングを行ったところ、高次中枢神経系に属する分子を含む複数の分子の遺伝子発現が変化していた。この中で最も注目したグルタミン酸系遺伝子について、同サンプルのcDNAを用いてTaqMan realtime PCR法による遺伝子発現変化の定量実験を行ったところ、40%程度の遺伝子発現抑制が認められた。この分子に作用するペプチドは、実験用マウスに投与することでモルヒネによる耐性を変化させることが1980年代に報告されており、NrCAMの発現変化がこの分子の発現変化をもたらし、依存形成の易罹患性に影響を与えている少なくとも1つの経路である可能性が示唆された。 現在は、Nrcamノックアウトマウスからの摘出脳について同様の網羅的解析を行う予定であるが、上記の分子については摘出脳から作成したcDNAを用いてTaqMan realtime PCR法による遺伝子発現解析を行ったところ、培養細胞で認められた結果と相同する知見が得られている。 今後は、上記のペプチドをマウスに投与してconditioned place preference testによりモルヒネ他、メタンフェタミンやコカイン,アルコールなどの依存形成を変化させるかどうかを確認して治療薬としての可能性を検討すると共に、NrCAMが関与する全てのパスウェイを明らかにする予定である。
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Research Products
(1 results)