2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18790876
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
森田 明典 東京理科大学, 理工学部, 助手 (90334234)
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Keywords | p53阻害剤 / 放射線防護剤 / オルトパナジン酸ナトリウム / DNA損傷 / アポトーシス |
Research Abstract |
研究代表者はチロシンホスファターゼ阻害剤として広く川いられているオルトバナジン酸ナトリウム(Na_3VO_4、Vana date、以後バナデート)が、DNA損傷誘導アポトーシスを抑制し、その抑制作用の標的分子がp53であることを明らかにしている、、この研究は、「アポトーシス制御による新しいタイプの放射線防護剤開発」を目指して進められたものであり、標的分子と判明したp53に対する抑制機構として、その構造を不活性型構造に変化させること、また、不活性化されたp53にはDNA結合能がなく、照射後のp53標的遺伝子の転写活性化が阻害されることをこれ迄に見出しており、バナデートをリード化合物とするp53阻害性の放射線防護剤開発への道を開いた。 本研究の当該年度では、効果的なp53阻害剤開発の基盤となる「より効果的で副作川の少ないp53制御法」の確立を目指し、他のp53阻害剤との比較による共通0)抑制分子機構や個別のlliL害機構の仕組みの解明を進めた。ヒトT細胞性白血病細胞株MOLT-4細胞のP5:う依存性放射線誘多邑アポトーシスをモデル細胞死として用いた結果、ビフィスリン-αを始めとする他のP53阻害剤ではP53転写は阻害したが細胞死を抑制することは出来ず、バナデートのみが強い抗アポトーシス効果を示した。細胞内局在性を改変したp53等を用い、更にこのバナデート効果の研究を進めた結果、この効果は近年注目されているp53の転写非依存的なミトコンドリア経由のアポトーシス誘導作用を抑制することに基づくものであることを見出した(投稿準備中)。この発見は、効果的なアポトーシス制御を達成する為にはp53の転写活性を抑制するだけでなく、p53の転写非依存性の経路も抑える必要があることを意味し、より効果的なp53阻害剤を開発する上で非常に重要な知見が得られた。
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