2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18791116
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
永長 一茂 金沢大学, 自然科学研究科, 助手 (70401891)
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Keywords | 精子形成 / 精細管微量注入法 / アポトーシス / 動物実験 / 細胞貧食 |
Research Abstract |
精子は、精巣内に存在する小管、精細管の中で作られる。精子の素となる精原細胞は、自己増殖をすると共にその一部は減数分裂を伴う分化段階に入り、精細管内の管壁側から内腔側へと移動しながら精子細胞へと分化する。精子形成細胞と呼ばれるこれらの細胞群は、分化過程でその7割以上がアポトーシスを起こして死ぬことが知られているが、その意義はわかっていない。研究代表者所属研究室ではこれまでに、アポトーシス精子形成細胞がセルトリ細胞により貧食されること、これを阻害すると作られる精子数が減少することを示してきた。 本年度は、精細管内のアポトーシス精子形成細胞が精子形成を促進することをin vivoで明らかにするためのモデルマウスの作成を試みた。抗がん剤のブスルファンをマウス腹腔に投与すると、8週間後には、精細管中のほとんどの精子形成細胞が消失し、ごくわずかの精原細胞とセルトリ細胞が残るのみとなった。このまま飼育を続けると、残った精原細胞が徐々に増殖・分化を行い、12週間後には半数程度の精細管で精子形成が回復することが明らかとなった。回復前の、つまり抗がん剤投与8週間後の精細管内に精子形成促進物質または阻害物質を注入すれば、12週間後には未注入のものと比べて精子形成の回復程度の促進または抑制が観察されるはずなので、アポトーシス細胞存在下での変化を示すためのコントロール実験を行った。精巣毒性がすでにわかっている化学物質のブスルファンおよびビンクロゾリンを精細管内に注入したところ、予想通り精子形成回復の抑制が観察された。一方、精子形成を促進すると予想した複数種の化合物を用いて同様の実験を行ったものの、精子形成回復程度の促進は観察されなかった。モデルマウス作成のためには、更なる条件検討が必要である。
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Research Products
(1 results)