2006 Fiscal Year Annual Research Report
鍼およびSSP刺激による内分泌・自律神経系および脳機能におよぼす影響
Project/Area Number |
18791493
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
瀧 邦高 大阪大学, 歯学部附属病院, 助手 (60362688)
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Keywords | 歯学 / 神経科学 / 循環器・高血圧 / 生理学 / 脳・神経 / 自律神経 / 鍼 / SSP |
Research Abstract |
<目的>鍼とSSP(表面銀電極)による経穴刺激による内分泌および自律神経機能の変化を、血圧・心拍ゆらぎとストレス関連物質である唾液中クロモグラニンA(CgA)の変化をもとに比較する。 <方法>健康成人11例(平均年齢29.5歳)を対象とし、心電計およびトノメトリー法を用いた血圧計にて、心電図および血圧を連続記録した。30分間の安静仰臥位にてcontrol値を測定した。次に、右大腸経の合谷、曲池に鍼を刺入後、低周波刺激装置を用いて約2Hzで30分間、通電刺激を行った。施術は、同一の鍼灸師が行った。また、CgA測定のために、鍼刺激前と鍼刺激中(刺激開始後15分)、刺激終了15分後の3回、唾液(約0.5ml)を採取した。得られた心電図と動脈圧波形はウェーブレット法による解析ソフトを用い自律神経活動を評価した。血圧ゆらぎの低周波成分(0.04〜0.15Hz ; SBP-LF)を交感神経系活性の指標と心拍ゆらぎの高周波成分の振幅(0.15〜0.5Hz ; HR-HF)を求め、それぞれ、副交感神経系活性の指標とした。 <結果>SBP-LFは刺激前に比べ、鍼刺激中と鍼刺激終了後に有意な低下を示した。逆に且K且Fは刺激前に比べ、鍼刺激中と鍼刺激終了後に有意な増加を示した。心拍数と収縮期血圧は、刺激前に比べて、鍼刺激中と鍼刺激終了後に有意な減少が認められた。また、唾液については、鍼刺激中にCgAの変化を認めなかったが、鍼刺激終了後にCgAの増加を認めた。 <考察>本研究より、鍼刺激は交感神経系の抑制と副交換神経系の亢進を惹起し、心拍数・血圧の低下を引き起こす。また、これらの変化は鍼刺激終了後15分を経ても持続している。CgAは交感神経作用を反映した精神ストレスの指標とされ、鍼刺激中に精神ストレスは上昇しなかった。 <今後の展開>鍼刺激のかわりにSSP刺激を行って、内分泌・自律神経機能への影響を調査する。
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